桜/魂


□仔狼の緑
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村塾で俺達はいつものように皆ばらばらなことをしていた。



ヅラは真面目に教科書を読んでて、銀時はムカつくくらい清々しい顔で寝ている。


俺はどこかに出掛けている松陽先生の帰りを窓を眺めながらひたすら待っている。



すると突然



「銀時、小太郎、晋助!ちょっと来て下さい!!」


外から聞こえてきた声は紛れも無い俺がずっと待っていた声。


だがその声には少しの焦燥が含まれている。


何事かと思い、俺はヅラと銀時を置き去りにして慌てて松陽先生の下へ向かった。




「松陽先生っ!!」


松陽先生の姿は真っ赤に染まっていた。

血だ。


でも、松陽先生の血じゃない。



松陽先生の手を見た。


その手には松陽先生に負けないくらい真っ赤に染まっている女がいた。


松陽先生の着物は今もみるみる血で染まっていく。



その血は女のものだ。


一体何があったのか、皆目見当もつかない。



俺はただその血だらけの女を凝視していた。



するとその女は薄く目を開け、俺の視線に気が付いたのか俺をじっと見ていた。



「…!!」



しかし女は俺に目を向けたあと、またぐったりと気を失ってしまった。



俺は松陽先生に声を掛けられるまでただ呆然と、女を見つめていた。











後にその女の名前は結澄咲良だと知った。


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