歌詞で書いてみた
□インフィニティ・タイムループ
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その日は天気が良かった。
まさにテニス日和。
そんな中、俺はテニスコートに立った。
パコンッタンッパコンッ
そんな音が会場に反響する。
流石に全国は広い。
だけど、俺は負けるわけにはいかない。
立海の部長として、全国三連覇を果たすために。
でも──
嫌な汗が頬を伝う。
ネットを挟んで立っているボウヤは、五感がなくなっても立ち上がり、テニスを続けようとしていた。
彼は、笑っていた。
テニスは楽しいと、そう言った彼は光輝いて見え、俺には眩しすぎた。
いや本当に光輝いていたのだが。
天衣無縫の極み。
無我の奥の最後の扉。
その扉をこのボウヤは開けたというのか。
ボールが放たれる。
が、見えない。
負ける──
そう悟り、視界が眩んだ時、彼の後ろで何故かいた俺が笑った気がした。
「嘘じゃないよ」と言いながら。
目を覚ましたのは全国大会決勝戦の日。
さっきのは夢だったのか。
ホッと息をつき、時計を見れば午前十二時過ぎ位だった。
もう一度寝ようかな。
まだ時間はある。
その日はまさにテニス日和。
俺はテニスコートに立った。
目の前にはボウヤがいる。
五感を無くしても笑っているボウヤが──
ふと昨日見た夢を思い出した。
五感を奪っても立ち上がり、やはり向かってくる。
「テニスは楽しい」そう言いながら。
天衣無縫の極みを纏い、俺を追い詰めていく。
負ける。
そう悟った。
くらりと眩んだ視界に、彼の後ろにいた俺がわざとらしく「夢じゃないよ」とまた笑っていた。
何度世界が眩んでも、結末は全て同じ。
何度も、何十年も陽炎が笑って栄光を奪い去る。
ならば、結末はきっとひとつだけ。
とっくに気がついていた。
パンッと放ったテニスボールがボウヤの足元に突き刺さる。
ボウヤの両目が大きく見開かれた。
6−4
俺の勝ちだ。
五感を奪わず、テニスを楽しむ事で、この俺が──
俺が笑った瞬間、彼の後ろには彼の陽炎がニヤリと笑った気がした。
目を覚ました全国大会決勝戦の日。
少年は、
「また駄目だったよ」
とヒマヤランを抱き抱えていた。