―龍の孫娘―

□参
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翌朝


本当に妖怪オタクとその仲間たちが現れた



そして、今は陰陽師の娘ゆらからなにやら妖怪に関して長々と指導されていた。





「妖怪には、神に近い存在のもいるな。そうだな、例えば…

『龍』やな。

龍は神の使いと言われている。
そのため、神社にも祀られている。
祀られた龍も自分を祀ってくれた人々に感謝して人々を護る。
他の妖怪と違い、人の味方かな?」


「なんとも、義理堅いんだね」
うんうんと頷きどこか嬉しそうな清継


「そうやな。昔の資料には、洪水になった村を龍が救ったっていう話もあるくらいだから…。

でも、決して龍を怒らせてはアカンで!
『逆鱗に触れる』っていう言葉があるやろ?


あれは元々、龍が語源になったんや。

龍の喉元に一枚だけ逆さに生えた鱗があって、

人がそれに触れれば必ず殺されるということからきたんや。

まぁ、元々龍っていうものは他の妖怪より強いからな。無闇にふれてはいけんよ。

(一度でいいから見てみたいな、書にはとても美しいて書いてあったしな…)」

ほわぁとほおけた顔をするゆらに

「そうだったんだ。知らなかったよ。
(てことは、翠雨を怒らせると不味いってことだよね?)」

翠雨の存在を改めて考えたリクオがいた


そして、本人はというと…

(へぇ〜、自分の事なのに、知らなかったなぁ。

確かに、お爺様達は人間のことが好きだったから、あり得る話か…。だからこそ、父様と母様がいるのか。納得納得)

うんうんと小さく頷いていた







―みんなが帰ってからの本家にて―



妖怪たちはグダァーと疲れ切っていた。

みんな集まっていたが翠雨の姿はなかった


「若、翠雨様が見えないのですが…
どちらに?」

翠雨の姿が無いことに気づいたつららがリクオに聞いた

「あー翠雨ならみんなを送っているよ。


ここに残ったら一緒に住んでいるってバレるからだって。

…あとなんか、神社にも顔を出してくるって言ってたなぁ〜」
「そうなんですか…」

残念と肩を落としたつららを見送り、リクオは一人縁側に腰掛けた




一方、翠雨たちは繁華街で別れていた

「それじゃあね、また学校でね」

「うん、バイバイカナ、ゆら。」

「きぃ付けて帰りぃ」

「うん、それじゃあね」

翠雨は、途中でリクオの幼馴染みのカナとゆらと別れた





そして、向かった先は町外れの小さな神社だった。


翠雨の後を追う1つの影…


境内にやってきた翠雨は後ろを振り返った

「いつまで、隠れているの?
もう、出ていなさいよ…ゆら」





「なんや、気付いてたか…」

翠雨の後ろの木の後ろから姿を現したのは先ほど分かれたはずのゆらだった


「初めから分かっていたよ。で、何で付いてきたの?」

「……………なぁ、翠雨は人間だよな?」

俯きながらぼそりと問いかけたゆらに翠雨は少し目を見開き驚いた

(さすが、陰陽師。
気づいたか?…
まだ確信は持ててないみたいだけど…)


「じゃあ、ゆらはどっちだと思う?人か妖怪か…」

小さくニヤリと笑い問いかけるとゆらは悲しげな表情をした


「……………わからん……。翠雨からは、人としての気と……妖怪の気も感じる。


しかもかなり強力なのを…」



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