―龍の孫娘―

□陸
1ページ/3ページ


所かわって旧鼠たちのねぐら

「う…ん…ここどこや?」

「おっ目が覚めたか?陰陽師さん。

どうだい、これから殺される気分は?
俺を憎まないでくれよ。悪いのは約束を破った三代目だからね」

ニヤッと口元を歪め嘲笑う


「三代目何のこっちゃ?
それより、旧鼠!翠雨をどこへやったんだ!?」


「あぁ、あの子ならあっち」
そこにいたのは、妖怪の姿で倒れている翠雨がいた


「翠雨!!翠雨なのか!!?大丈夫か翠雨!!」

ぐったりとして動かない翠雨に檻を掴み声を上げるゆら


「いいね、感動の再会ってやつ?」
突然旧鼠の顔の前に電撃が走った


「それ…以上…ゆらに、近づくな…」


わずかに切れた頬を拭いギロリと視線をゆらから移した

「何ぃ〜まだ動けたの?毒で体を動かすだけで辛いでしょ?どこにそんな力があるの?」

「ゆらは…かん、け…いっないでしょ?
ゆらを、放して…」

今にも消えてしまうくらいの小さな声だった

「え、なに?小さくて聞こえないよ。
さて、そろそろ時間切れだ…

なぁ〜知ってるか、人の血は、日が昇る前が一番うまいんだよ」

その言葉を合図に鼠たちが襲い掛かった

「俺、こっちがいいな」

「オレホントはあっちの子が良かったな…」

「ならお前あっち行けばいいだろ?」

「だってあの子毒食らってんだよ、オレ下手したら死ぬじゃん」


(翠雨なんで、うちを庇った?
毒だってきっとうちのため…
なんでや!?なんでわざわさうちを助けるんや!?)

目の前に迫った鼠たちにゆらはぐっと
拳を握った




突如、白い霧で室内が満たされた

霧が晴れそこにいたのは、おびただしい数の妖怪

「なっなんですかあれっ!!」

「猫の奴も居ますよ!!」

現れた敵に動揺する鼠たちを目にし、リクオは視線を鋭くした

「あれが旧鼠組か?」

「そうです、あいつらです」
後ろに居た良太猫が頷いたのを確認し、クイッを口角を挙げた

「ほぉ、
おい、旧鼠。てめー
覚悟はできているだろうな?

よくも、翠雨を傷つけやがったな…
その報い、死んで償ってもらおうじゃねぇか」


ゆらは突然現れた大量の妖怪を見て固まってしまった

(生の百鬼夜行なんか初めて見た…
じゃあ、あいつが百鬼夜行の主…妖怪の総大将か?)


「てめー、何者だゴラァ」

「回状は!?ちゃんと廻したんだろうな!」

「あぁ、回状ならビリビリにして捨てちまったよ」

ククッと笑うリクオに旧鼠は怒りを滲ませ、後ろにある檻を指差した

「ならば、人質を殺すまでよ!!
ん?
いない!?」
消えた人質に驚き固まる


ゆらは、首無たちによって救出されていた

翠雨の方はというと
「大丈夫ですか!?翠雨様」

「…ささ、美…さん?」

「今、鎖をとりますから!!」
「しっかりしろ!」
三羽鴉たちによって救出されていた


だが、足についている鎖をとるのに手こずっていた…

「おいっあの娘を殺れ!」

もう一人の人質の翠雨を指差し命令をした


鼠たちが翠雨に襲いかかった

「おいおい、何こいつに手ぇ出してんだよ」

そこには先ほどまでと違う
怒りに満ちたリクオが鼠を斬り伏せていた

リクオは翠雨の元へ行き、刀で足の鎖を切った

そして翠雨を抱き上げた
「リ…クオ…なの?いつも…と、違、う」

出血が多く朦朧とする意識の中、普段のやさしげな雰囲気とは違い、凛々しく将に大将の風格を纏うリクオに小さく微笑んだ

「あぁ、俺だ。これが妖怪の姿なんだ。
翠雨、護ってやれなくてごめんな」

さっきまでの怒気を含んだ声音が嘘のように優しい声でぎゅっと抱きしめた


「少し待ってろ、今からねずみ退治して来るから
三羽鴉!今すぐゼンの元に翠雨を連れていけ!
こいつ、毒を盛られている」

「はっ!!」
3人は翠雨を抱えゼンの元へ飛び立った



「それじゃあ、始めようか
ねずみ狩りを…」



それを合図に戦いが始まった…



次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ