―龍の孫娘―

□伍
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―本家にて―

リクオは1人縁側に座って空を眺めていた

(はぁ〜、なんか今日は大変だったな…)


コンコンッ
「リクオ様…」
どこからか、小鼠が現れた

「初めまして。私、旧鼠組の使いのものです。」
小鼠は庭から縁側に座っているリクオを見上げていた

「旧鼠組…?」
聞き覚えの無い組名に首をかしげるリクオ

「ハイ。我らが主、旧鼠様からの手紙を預かっております、どうぞ」

差し出された手紙の内容はこうだ


『ご友人と龍組二代目当主の龍谷翠雨を預かった。返して欲しければ、今夜中に全国の親分衆に三代目を継がないという回状を廻せ。さもなくば、2人を殺す

あと、龍組の子は俺の優秀な部下たちを殺したから、少し罰をうけてもらった
早くしないと死んじゃうよ』

手紙を読み終わるとリクオは縁側から飛び出し走り出した

(なんでこんなことに!?)

後ろでは小鼠がニヤリと口元を歪めていた


タッタッタ
「一体どこにいるんだ!?」

繁華街から一本ずれた路地で辺りを見回す


「ならば、連れて行って差し上げよう」


「えっ?うっっ」
突然頭を殴られ気を失った



――――――――――――――――――――――――――――


「……う…ん……」


気が付くと広い空間にソファーがひとつ、目の前には旧鼠たちがいた

「おっ目が覚めたかい…三代目さん…」

「君が旧鼠?」

「あぁ、俺が旧鼠。
なんでわざわざここへ来たんだ?回状を廻せば早いものを…」


「2人はどこにいる!?」


「ん」

顎で指された先には大きな檻があり中に人が倒れていた

「花開院さん!」

だが、翠雨の姿がなかった

「翠雨はどこにいる!?」

「あぁ、龍組の子?
あの子ならあそこだよ」

指を指した方にいたのは、
天井から吊るされた大きな鳥籠。中では足を鎖で留められ、体のいたる所から赤い血が滲んで荒く呼吸をしている翠雨の姿があった


「彼女に何をした!」

「何をしたって、部下たちの仇をとったんだよ。

あの子せいで優秀な部下をなくしてね。

書いたでしょ?
あと、動けないように毒をやったんだよ」


「僕は三代目なんかいらないよ、だから今すぐ2人を離して」

「ふっ言ったな、なら早く全国の親分衆に回状を廻すんだな。
もし破ったら、
この子たちを夜明けと共に殺すっ!!
早くしないと龍組の子は毒で死ぬかもね」



――――――――――――――――――――――――――――



―奴良組本家にて―
「なっなんですかーこれは!!」


「回状だよ鴉天狗。

これを今すぐ全国の親分衆に廻して、じゃないと翠雨がっ!!」

手に握る紙を見てわなわなと震える鴉天狗にリクオはせがんだ


「いけません!翠雨様は我々で助ければよろしいんです!

三代目を継がないことを宣言するなんて!?

これが意味することが解っているんですか!!」

珍しく声を荒らげ怒鳴る鴉天狗


「そんなの百も承知だ」

「騒がしいぞ。

リクオ事情は聞いたぞ。鴉天狗回状をくれ」

「どっどうぞ」

ぬらりひょんは回状を受け取ると…


ビリビリに破いて捨てた

「何を考えておるんじゃー!!」



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