哀しみの先に

□第二章
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「止めてウーゴ君!!」


青い巨人、ウーゴ君は握りつぶし動かなくなったジュダルに追い打ちをかけるかのように両手を振り上げた




「マズい!!みんな逃げろ!!」


シンドバッドの叫び声に広場にいた霧の団のメンバーが逃げ行く


ジャーファルやマスルールも逃げ遅れた人や誘導したりしている



「ウーゴ君お願いだ止めてくれ!!」


アラジンの悲痛な叫び声


無情にも振り下ろされた拳


「っ!?」



凄まじい衝撃波に飛ばされそうになるのを何とか堪える



アラジンは飛ばされモルジアナに抱き留められていた







衝撃波の元となったそこは大きく窪んでいた


これでは助からないと思って窪みに視線を移すとそこには人影があった


月明かりで照らされ輝くジャーファルとは少し違う長い銀髪


ウーゴ君に向けられた手には白い羽で覆われ、

周りの物とあまりにもかけなはれた神々しい雰囲気に満ちていた



彼女の足下には傷つき動かないジュダルの姿がある



そっと開かれた口から紡ぎ出された声は聞き覚えのある懐かしい声だった







――――――――――――――――――――――――――――



広場に駆けつけるとそこはひどい有様だった

石畳は割れ、壁は崩れ、氷が突き刺さっている


そして、今まさに熱魔法を纏った拳を振り上げ地面に倒れているジュダルに止めをさそうとする巨人




「マズい!!みんな逃げろ!!」


その声に逃げまどう人々の中を流れに逆らいジュダルと巨人の間に体を滑り込ませた



振り下ろされた拳に両手を向けると熱魔法はすべてノアの居るところだけ避けるように流れる

周りの地面が潰されていく中ノアと足元のジュダルには何の被害もない




振り下ろされた拳が戻されるが手はまだ構えたまま、閉じていた口を開いた



「そこまでだ名の知れぬジン。彼はもう動けない。主に刃向かう物は居なくなった。大人しく己の金属器に戻るんだ。

それに彼はマギだ。マギを殺してはマズいだろう」


そう彼は曲がりなりにもマギの一人なのだ。彼がもし死んだら世界の均衡は崩れてしまうだろう。例え彼が組織と繋がっているのを知っていても、彼は生かさねばいけない



ノアはウーゴをじっと見つめる
その間誰も口を開こうとはしない

ノアの放つ有無を言わせぬ覇気に僅かな殺気に皆が黙る



そんな静寂はこの場に似合わぬ可愛らしい声によって砕かれた


「あらあらぁ、随分と私たちのかわいいジュダルちゃんをいじめてくれたみたいね」


「煌帝国…」


ノアは苦虫を潰したように顔を歪め、空にある煌とかかれた絨毯を見つめた



絨毯の上の少女と視線が交わると少女は目を見開いたがすぐに平生と変わらぬ冷たい目に戻った



「そちらのお方が助けて下さったみたいね…礼を言います。我が煌帝国の神官を助けていただき感謝します。」


すると煌帝国の兵士の一人がノアの足下のジュダルを回収に来た

それに頷いたあと視線を上に戻した


「礼を言われるような事は私はしていないよ、煌帝国皇女練紅玉さん。全ては自分のためにやったことなのだからね」


「そぉ、では私も自分ためにやろうかしらねぇ」



そういうとおもむろに自分の簪を手に取り魔装をした

大剣となった簪を手にし、ウーゴを貫いたのだった



「ウーゴ君っ!!」

遠くから少年の叫び声がした

周りでは煌帝国の兵士たちが暴れ周り騒音で包まれ始めた





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