百合の殻

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そこからは時間がたつのが本当に速かった。
会話というよりはもっぱら如月が一人で喋り、僕がただ相槌を打っていただけのトークショーのような状態だったのだが、それでも何故だか楽しいと感じてしまったのだ。他人と会話することが楽しいと感じるだけでも僕にとっては異常なのに、それに何の疑問も持たないのは何かが狂ってしまっているのだろうか。

「さて、そろそろ十分くらい経ちますかね」
「いや、二十分はたってるね、ざっとみても」
「え!?」

どうやら、喋ってる本人の体内時計の方がもっと狂っていたらしい。彼女はオーバーなリアクションをとるものの、どうやら驚いているのは嘘ではないらしい。焦って携帯を胸ポケットから取り出してディスプレイを確認すると、はあとため息をついた。

「あー、ほんとだ。まさかこんなに時間がたつのが速いとは、誤算です。でも、浅倉先輩って、いい感じで相槌打ってくれるから話しやすいんですよー。だから、これも仕方がないんです!」

僕が何も言っていないのに元気よく弁解する辺り、こいつらしいのだろう。笑い顔に迷いがないのを見ると、少しもまずいとは思っていないらしい。



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