DRRR!!

□構ってほしい
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「…臨也さん」

『んー?』

「あのー」

『…ちょっと待ってね』

「………」

先程からこのやり取りを何度繰り返したことか。
正臣は如何にも不機嫌そうな表情でソファに寝転びながら臨也の横顔を睨み付けた。
睨み付けたところで、臨也は気付かないけど。


(そりゃあ、アポなしできた俺がいけないんだけど…)


でも臨也さんが、正臣くんは特別好きな時に来ていいよ、とか言うから…。

そう、目を伏せて嘆息した。


――
部屋に入るといつもの笑顔で

『昨日終わらせるつもりだった資料の整理がまだ終わってないから、ちょっとだけ待ってて?』

と言われ、押し掛けたのは此方なのだからと了承した。



ちょっととか言ってあれこれ2時間はたってる


(…つまんねー)


仮にも俺は、臨也さんの下で働かせてもらってる立場だし邪魔するわけにはない。



でも、俺がいるんだからちょっとは…

ハッ、と目を見開いた。


(うわ…俺ってこんな女々しい奴だったけ)


激しい自己嫌悪に近くにあったクッションに顔を埋める。
すると埋めたそこから臨也の香りが感じ取れて顔が熱くなる

…悪循環。

それもこれも全部アンタのせいだ、と無理矢理こじつけ、再度じとりと念を送るように横顔を睨んだ。


(…こっち向け、バカ)



 ─刹那。
下ばかり向いていた顔が、くるりと正臣を見た。
かち、と視線が絡む。

「………っ!?」

勢いよく寝返りをうち臨也に背を向け、真っ赤な顔を手で覆う。


(え!?は??…俺、声に出してないよな!?)


「正臣くん?」


新しい重みが加わりソファが少し動く、身体を囲むように手をつかれ上から覗き込まれる気配がする。

赤い顔とパニックな思考で顔を上げることが出来ずにいると


『ごめんね、せっかく来てくれたのにほったらかして。もう終わったから、こっちおいで?』


「………」

…いつもより優しい声だ。

「い、いいっすよ別に。」

『ほら、顔上げて?』

 頬に暖かい手の感触。

「…ッ」

 顔を上げると思ってたより近くに臨也さんがいて、


『ふふっ、顔真っ赤だよ?』


「…う、うるさい」


『全く正臣くんには叶わないよ。今日はそのつもりなかったのにさ』

不意に肩が引き寄せられ 唇が押し当てられ

はじめはふれるだけだったキスがだんだん深くなる

「ふっ、んん…う、は」

 侵入してきた暖かい舌に翻弄されてく


「ん…あっ」

ゆっくりと離れる二人をつなぐ銀色の糸。

「…い、ざやさん」

『何?』

ニコっと微笑む臨也さん。…普通にしてればほんとにカッコいいな 普通にしてれば


「っ、まだ終わってないんでしょ、今はいいから 残りの仕事終わったら…っ」

 一瞬 驚いた顔みせたが すぐに不敵な笑みを浮かべ


『終わったら?』


「っ・・・」

 どうやら 続きを言うまで離れる気はないらしい


「…続き、してやっても…いいっすよ」


我ながら生意気な返答だとは思ったが

これくらいは許されるはずだ、と自己完結。



『そっか。じゃあ、正臣くんの気が変わる前に終わらせないとね』

 臨也がソファから離れると

 正臣は再びクッションに顔をうめた。





 END

 

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