裏365
□084.午後のひととき
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午後のひととき。
リビングに置いてある二人掛けのソファーにベジータとブルマの姿があった。
ベジータの方はラフなTシャツにジーンズといった出で立ちで、肘掛けの上に頬杖をつき何とも忌々しげに頬を指先で叩いている。
反して隣のブルマは、襟ぐりの大きく空いたニットセーターにミニ丈のスカートの格好で夢見心地な表情を浮かべベジータの左腕にぴったりと寄り添っていた。
「おい、いつまでこうしているつもりだ?」
「さっきも言ったでしょ?電力が復旧するまでって。あんた達のせいで電線がショートしたんだから、少しは大人しくしてたら?」
然もありなん、と言ってのけたブルマに、ベジータはぐ、と苦汁を呑むかの表情を浮かべた。
昨日、息子とのトレーニングに拍車が掛かり、電力システムの要と言うべき基盤を破壊してしまい、そこから繋がる電線も幾つか断線してしまった。
そこから連鎖的に他の電力システムもダウン、冬空の下、広い邸内で空調も効かせる事が出来ず無論重力室も使えず「寒いんだから一緒に居てよね。」とブルマからの不当な要求も断りきれず今この状況である。
ブルマとしては真っ昼間から誰に気兼ねする事もなく夫にくっついていられる事はこの上ない幸せであったがベジータは違った。
徹底されたスケジュール管理が狂う事をこの上なく嫌う。
トレーニングもせず妻の言いなりになっているこの状況は、堕落した自分を認めているかのようで嫌悪感すら感じていた。
「何よ、あと一時間位でシステムが回復するんだから、少し位いいじゃない?」
そんなベジータの心情を知ったのか、ブルマは腕を絡めると頬を膨らませ上目遣いを向けた。
最近、仕事が立て込んでいた事もありこうして二人で向き合うのは随分と久しぶりである。
だからこそその時間を堪能したいと思うのだが、夫の意識はまるで別の方へ行ってしまっているようである。
(まあね、ベジータがそういう奴って分かってるけど...)
問いかけにも無言のまま、そっぽを向いたままの夫。
何より自分自身を鍛える事、そしてより強い者と戦う事に悦びを得る、戦闘民族サイヤ人の嗜好は時にブルマの理解を越えていた。
「そうだ!ベジータ、いいものがあるのよ!」
「いいものだと?」
漸く此方を向いた。
気を良くしたブルマは、本当は夕食後に出そうと思っていた四角い箱を夫に手渡した。
「チョコレートよ!今日バレンタインでしょ?」
チョコレートと聞き、ベジータの表情があからさまに険しくなった。
彼にとって、チョコレートとバレンタインには良い記憶が殆ど無い為である。
「あ、安心して。ちゃんとお店で買って来たから。本当は手作りしたかったけど、失敗しちゃうの目に見えてるし。」
成る程。
毎年のアレは一応失敗だと自負していたか。
ベジータは心の内で納得すると、包装紙に包まれたそれを無造作に破りとり、箱を破り中の一粒を口に放り込んだ。
「あ〜!あんたねぇ、もっと丁寧に食べれない訳?!」
「ふん、こんなもの口に入れば皆一緒だ。」
「一緒じゃないわよ!1ヶ月も前からあんたが好きそうなのピックアップして、形とか色とか、包装紙にもこだわったし、私がどんだけあんたの事思って...」
瞬間、ブルマの瞳に大粒の涙が浮かんでいた。
泣くつもり等無かった。
ベジータの反応は自分が予想していた通りだったし、そんな男に夫婦となった今も惚れているのは自分だ。
でもその想いは実は一方通行なのでは無いだろうか...
気の利いた台詞も態度も無い、そんな男だと分かっているのに、それが悲しくて虚しくてどうしようもなくなっていた。
「あはは!ごめん、目にゴミが入ったみたい...」
何とか笑って誤魔化そうとした、瞬間、少しほろ苦い味と共にブルマの唇の上を暖かなものが触れた。
「言って置くがな、このチョコレートは旨いぞ。」
軽く触れ合うだけのキスの後に見たのは夫のこの上なく真面目な顔。
瞬間、ブルマは思わず吹き出してしまった。
「な、何だ!」
「あはは!私は別に味の事なんて言って無いわよ!あ〜、おっかし!」
ひとしきり腹を抱えて笑ったせいで腹筋が痛む。
ブルマは漸く笑いを噛みしめると、訝しげな表情を浮かべているベジータに口づけ口内に舌先を滑り込ませた。
「本当、このチョコレート美味しい。流石、私が選んだだけあるわね。」
「ふん。」
ベジータは盛大に鼻を鳴らすと、ブルマの細い腰を掴み柔らかな体を引き寄せた。
口づけを交わし、徐々に深く触れあい、熱を帯びた舌先を絡ませて行く。
ベジータの唾液に口内に残ったチョコレートが溶けだし、それは甘くほろ苦い味となってブルマの口内を侵す。
堪らなく淫らな気分になったブルマは、ベジータとのキスを深めながらその下腹部、ジーンズから盛り上がった部分を指先で擦った。
小さなうめき声が繋がった口内に響く。
ベジータはブルマの髪を掻き上げ、その匂いを目一杯肺に取り込みながらたわわな乳房を服の上から揉みしだいた。
互いの吐息が徐々に荒くなる。
緩やかな刺激を与える手は止めず、ひたすらに舌を絡め合い唾液を絡め合わせてゆく。
ベジータがセーターの裾から手を入れ柔肌を撫でるとブルマの背中が小さく震えた。
そのまま片手で器用にホックを外し、セーターをまくり上げると豊かながら形の良い乳房がベジータの眼前に晒された。
寒いのか白い肌には幾つもの小さな突起が浮かび上がっている。
それを解すように丹念に舌で舐めとると、ブルマは、はあぁ、と熱い吐息を漏らした。
「ん、んっ...」
中心の突き出たサーモンピンクを口に含まれブルマは身もだえた。
もう片方の乳房はやわやわと絶妙な力加減で揉みほぐされその形を様々なものに変えている。
「ベジータ、も、もう...」
下腹部から滲み出た熱い体液に、最早限界とブルマは懇願する。
それに不適な笑みで返したベジータは、既にシミが出来ている部分をマジマジと見据え問いかけた。
「もう?何だ?」
「バカ、意地悪しないでよ...」
ブルマは羞恥に顔を染めながら自らショーツを脱ぎ捨て指先で襞を割り開いた。
「ここ、触って。」
この上なく甘美なる誘い。
テラテラと、陽の光に照らされ輝く部分は神々しくも淫らに厭らしく男を誘う。
ベジータは本能の赴くままその中心に指を突き立てた。
「そのまま広げていろ。」
円を描くように動かすと、卑猥な襞の奥からまた輝く体液が溢れる。
二本目の進入を容易く受け入れたブルマは、襞を指先で開いた格好のまま我を忘れ喘いだ。
「あっ!はっ!あんっ!」
じゅぶじゅぶと音を立てベジータの指先はブルマを掻き乱す。
律動は止めぬまま、口づけを深く交わすとブルマは一度目の絶頂を迎え体を小刻みに震わせた。
「どうした、随分と早いな。」
「だってこんな明るい場所で...あんたに全部見られてるって思ったら私...」
何時もの寝室と違いリビングはカーテンも付いていない開放的な空間である。
広い窓からの陽の光はブルマの隅々までも照らし、彼女の羞恥を呼び込みまたそれを快感にすり変えたようである。
「成る程な。」
呻くように低く呟いた男は、何を思ったか衣服が乱れ乳房が丸出し状態のブルマを窓際に運んだ。
「え?や、何すんのよ!」
大通りから中庭を挟んでいるとは言え、声はいつ誰に聞かれるとも知れない。
ブルマは必死に抗うが、無論鍛え抜かれた男の体はびくともしない。
そのまま両手を窓に押し付けられたブルマは、尻を高々と突き上げる形でベジータのモノに貫かれた。
「バカ、バカ、バカ!何すんのよ!あっ!あんっ!」
余りの恥ずかしさに涙を溢すが無論律動が止む気配はない。
腰骨を捕まれ激しく貫かれ、ブルマはたちまちその快感に飲み込まれていった。
「やっ...!ベジー...!お願い!嫌っ!」
「ふん、嫌だと言う割には何時もより締め付けるがな。」
ベジータのその一言に、ぞくり、と背中から這い上がったものを感じたブルマは、そのまま二度目の絶頂を迎え大きく背中を反らせた。
「くくっ、やはりは早いな。」
「も...馬鹿...」
くったりと体の力が抜けてしまったブルマに構わずベジータはその片方の脚を右腕に担ぎ上げた。
「え...あ...」
「丸見えだな、くくっ。」
固く反り上がったグロテスクなソレが、ブルマの赤く充血した部分を押し広げ厭らしく律動している。
尚も指先で結合部分を広げたベジータは、ブルマの乳房を窓にべったりとつけ、細い体を激しく揺さぶった。
「どうだ?今、来客が来ればお前の痴態が丸見えだぞ?」
「ひっ...!あっ!やめてっ!はああんっ!」
言葉で責める度、ブルマの中はぎゅうぎゅうとベジータを締め付ける。
無論、ベジータは他からの気が入ってくれば即座に分かるようアンテナを張り巡らせているが、ブルマはそれを知る由もなく、羞恥と快楽の狭間で身もだえた。
ベジータは結合部を開いた指先部分でブルマの陰核をなぶった。
「はぁっ!ああっ!そこダメ!ダメっ!」
溢れでた蜜を絡め擦りあげ、同時、最深部に激しく律動を刻む。
ずちゅ、ずちゅ、と結合部からの厭らしい音、間近にベジータの荒々しい息づかいを感じながらブルマは再び果てた。
「あっ!ああああああっ!!」
「くっ...!」
ベジータも小さく呻くと全神経を射精へと向ける。
ブルマの腰を引き寄せ、一番奥に熱い液体を注ぎ込み、痙攣が収まるまで中に居た。
その後、場所をシャワールームに移し二度目の情事を堪能した二人は衣服を整え再びリビングに戻って来た。
そしてそこでブルマが見たのは窓からの陽の光で溶け、すっかり元の形を無くしたチョコレート。
「そろそろ電力システムが復旧した頃だろう、俺はトレーニングに掛かる。」
と言い残し出ていったベジータの背中を見送り、ブルマは密かに決意した。
(このお返しはホワイトデーにたーっぷりして貰うんですからね!)
果てさて、ブルマの野望が実現するか否か。
それは、天界に居る神ですら分からない...
end