裏365

□272.理解不能
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「はあっ、はあっ」


熱い吐息が吐き出されたと同時に、白い体が妖しくうねる。


こんな風に乱れた女は居なかった。


角度を変え抉れば、その度に蒼い髪が踊る。
たわわな乳房は様々な方向に動き、時たまぶつかり合ってはたぷたぷと厭らしい音を立てる。


内部はこれまでかと己を締め付け離そうとしない。
卑猥にも粘り気を帯びた水音を響かせ、尚最深部へと誘うかのように蠢いてくる。


「くっ・・・!」


余りの強い快楽に唇を噛み締めていた男はくぐっもった声を上げた。


彼女の細い腰に手を添え、尚、律動を早めてゆく。


艶やかな唇からの声が次から次へと耳を掠めてゆき、快楽を尚強いものとしていった。


(こんなにも踊らされるとはな。)


彼女を組み敷き勢いのまま叩きつけて踊らせている筈が。


実際は、此方が彼女に踊らされている。


温かな、この上なく極上な内部に捕らわれているのは、はちきれんばかりの欲望の化身ばかりではない。


冷え切ったと思っていた心の内を、熱く焦がされているに関わらずの心地よさ。


既に、プライドの塊かの男の心は彼女の手中に捕らわれつつある。


「くそっ・・・!」


足掻きは全て無駄になるだろう。
しかし、男もまた何もせず女に囚われる程素直ではない。


精一杯の足掻きを律動に乗せ、此方へと主導権を戻そうとする。





「あっ!ああああっ!っく・・・!」


遂に昇天した彼女に再び悉く絡み取られては最早成す術も無い。


敢えて生かしている、その程度の女に乱し乱され男は遂に足掻きを止めた。


「くっ・・・!」


再びのくぐっもった声を上げ、全ての意識を射精へと向ける。


はちきれんばかりでいた其れを解放してやり、彼女の最深部に全てを注ぎ込んだ。





「ベジータ・・・愛してるわ。」


暫くして漸く息が整った彼女がポツリと一言を漏らす。


アイシテイル。
その言葉の意味も感情も理解していたが、やはり男にはそれが不可解でならなかった。


イトオシイ。
その感情は感じた試しもない。
彼女に対しても然り。


ただ欲情を晴らすために、己の主導権を確固たるものにすべく彼女を抱いている。


囚われている。


今、彼女に抱く感情はこの一言が一番シックリ来るだろう。


(笑えるな。)


自嘲気味に薄く笑った男は既に寝息を立て始めた彼女の横顔を一瞥し、スルリとベッドから抜け出した。







end

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