夢の世界へ

□儚く響け哀愁歌
1ページ/3ページ







「…という事だ、頼まれてくれるか?」


薄紫の、深い深い瞳で私を見た貴方。


今し方聞かされた任務内容に、ただ小さく頷くと、貴方は表情一つ変えずに頼むぞ、そう一言だけ告げて私から目を逸らした。


「あの、リーダー」

「何だ?」

「この任務って、私じゃなきゃ…ダメなんですよね?」

暫しの沈黙…
小南ちゃんではダメなんですか?など、貴方に聞く勇気は無い。


「…不満だったか?」

「いえ…」


「余計な事は考えるな。これは任務だ」


「はい、…すみませんでした」



部屋を出る前に一度だけ振り返ってみた…

曇天の空から降り注ぐ雨を、リーダーは何を考え眺めるのだろうか。



「…失礼しました」


ゆっくり…
静かに、後ろ手でドアを閉めた。













「あんるぇー?凛音先輩じゃないっすか。どうしたんです?暗い顔しちゃって!」

「…なんだ、トビか」

「そ、そんな言い方したらトビ泣いちゃいますよ!?」


目の前に現れた新人に、心は全力で落ち込んでゆく。コイツはいつもそうだ、私が一人になりたい時に限って、タイミング悪く現れる…


「ごめんトビ、用が無いなら後にして。私は部屋に戻るから」


「…あ!そういえば〜、凛音先輩って明日の任務で"色"やるって本当ですか?」


「……何でトビが知ってるの?」


通り過ぎようとした私の腕を掴み、表情こそ解らないが、私の反応を楽しそうに見ているトビ。


「いやぁ、まぁー…風の噂で少し!」


「答えになってないし。まぁ、良いけどさ…トビには関係無いんだから、放っといてよね」

腕を振り解こうにも、意外な握力に腕はピクリともせず、そのまま歩こうにも一歩も進む事は出来ない。








次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ