夢の世界へ
□儚く響け哀愁歌
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「…という事だ、頼まれてくれるか?」
薄紫の、深い深い瞳で私を見た貴方。
今し方聞かされた任務内容に、ただ小さく頷くと、貴方は表情一つ変えずに頼むぞ、そう一言だけ告げて私から目を逸らした。
「あの、リーダー」
「何だ?」
「この任務って、私じゃなきゃ…ダメなんですよね?」
暫しの沈黙…
小南ちゃんではダメなんですか?など、貴方に聞く勇気は無い。
「…不満だったか?」
「いえ…」
「余計な事は考えるな。これは任務だ」
「はい、…すみませんでした」
部屋を出る前に一度だけ振り返ってみた…
曇天の空から降り注ぐ雨を、リーダーは何を考え眺めるのだろうか。
「…失礼しました」
ゆっくり…
静かに、後ろ手でドアを閉めた。
「あんるぇー?凛音先輩じゃないっすか。どうしたんです?暗い顔しちゃって!」
「…なんだ、トビか」
「そ、そんな言い方したらトビ泣いちゃいますよ!?」
目の前に現れた新人に、心は全力で落ち込んでゆく。コイツはいつもそうだ、私が一人になりたい時に限って、タイミング悪く現れる…
「ごめんトビ、用が無いなら後にして。私は部屋に戻るから」
「…あ!そういえば〜、凛音先輩って明日の任務で"色"やるって本当ですか?」
「……何でトビが知ってるの?」
通り過ぎようとした私の腕を掴み、表情こそ解らないが、私の反応を楽しそうに見ているトビ。
「いやぁ、まぁー…風の噂で少し!」
「答えになってないし。まぁ、良いけどさ…トビには関係無いんだから、放っといてよね」
腕を振り解こうにも、意外な握力に腕はピクリともせず、そのまま歩こうにも一歩も進む事は出来ない。