夢の世界へ
□一つになった。
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「戦争になる」
「…え?」
いつもの様に家へ帰って来たマダラを迎えれば、彼が開口一番に吐いた台詞…言わずもがな私の心を粟立たせた。
「せんそう……」
解ってはいた、いつかこうなる事くらい。彼の目的の為に、私は全力で彼をサポートしようと決めたはず。
なのに…
「凛音?」
「え?あっ…良かったねマダラ!これでまた夢に一歩近づいたのよね。今夜は御馳走にします!」
何故だろう、マダラを行かせたくない。でも私に何が出来る?戦えない私は足手まといにしかならない。
でも… でも…
「安心しろ凛音」
「え…」
「戦争といっても、俺はまだ戦わん。それに俺は強い、死んだりしないさ。だから心配するな」
「っ…マダラ、ありがとう…」
凛音は本当に泣き虫だ。なんて言いながら抱きしめるから、涙が止まりそうにないよ。
ねぇもっと、もっともっと強く抱きしめて。私に愛を囁いて…愛してるって身体一杯に感じさせて。
「…月が綺麗ね」
「そうだな」
ギシリとベッドから身体を起こせば軋むスプリング…私の心も泣いてるのを、貴方は気付いている筈でしょう?
それなのに何も言わないという事は、きっとそういう事なんだろう。
「絶対に、生きて帰って来て下さい」
「二度も言わせるな、俺は死なん」
どんなに貴方が強くても、安心させてくれる言葉を貰っても、心はザワついた間々。
あの月さえ消えてしまえば、マダラは私から離れないの?
「あの月さえ、無ければ…」
(モットイッショニイラレタノカナ?)
「……」
あぁ、困らせちゃダメ。彼を止める事は出来ないのだから…
私に出来る事は一つだけ。
「信じて…待っています」
「……すまない」
そして貴方は消えていった。
いつまでも私は待ち続ける事でしょう。
見上げれは月が光り、
泣くな 泣くなと、囁く貴方。
貴方は今日も私を慰めるのね。
手を伸ばして月を掴む…
届きそうで、届かない。
流れ星が月の下を無数に駆け抜けた。
あぁ…そうなのね。
マダラ、貴方も私と同じ。
「泣いているのですか?」
永遠に、永遠に
手の届かない場所で…
私を惑わせて……
そして、
一つになった。
(私が欲しかったのは…)
(俺が守りたかったのは…)
((アナタだけだったのに…))
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