夢の世界へ

□大丈夫、愛に飢えただけ
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暁にトビという新しいメンバーが入ってからというもの、この光景は日常茶飯事となった。


泥「トビてめーちょっと待てゴラァ!」

鳶「あっははー嫌ですよーだ」

泥「てめぇまたオイラの芸術品をぶち壊しやがって!今日という今日はもう許さん!!うん」喝!!

鳶「わわっと!ちょっ…先輩危ないっすよ〜」ヒョイ







あ〜もう、ウッザイなあ。

「ちょっとイタチ、あの馬鹿二人を止めてよ。ゆっくり昼寝ができないわ」

鼬「ナンセンスだ」

「ちっ、役に立たないな。そんなんだから弟に命狙われんのよ!何がナンセンスだアホっ」

鼬「ぐっ……ナンセンス、だ」


「あ〜もういい。私部屋に戻るわ…」

ちっ!イタチの野郎クール装いやがって、そうすればモテるとでも思ってんのか?勘違いヤローめ。

もういいや、寝よ寝よっ!






鳶「イタタタ…ちくしょーデイダラ先輩ってば本気で殴るんだもんな、参っちゃうよ」

でもやられてばっかりの僕じゃない!こうなったら先輩の部屋に行って、何かイタズラしてやるぞドチクショー。

そう思ってデイダラ先輩の部屋へ向かいドアを開けた。



「あれ……?」

「んぁートビ?」

「あれあれ?」

部屋間違えたかな?そこに居たのは紛れも無く凛音先輩だった。上から見ても横から見ても凛音先輩…
あれ?っと思い一度部屋を出てもう一度入り直してみても、そこにはやっぱり凛音先輩が居た。


「何やってんの?デイダラとの喧嘩は終わったの?あ、喧嘩じゃなくて制裁か」

「ぇぇえええ!!??ちょ…なんで先輩が先輩の部屋にいるんすか!!??」

「ウルサイ、そしてややこしい言い方するな」

「てゆーか人のベッドの上でポテ〇なんか食べないで下さい!カスが落ちるじゃないすkってそんなことじゃなくてぇぇえ!!」


「お前のベッドじゃないだろ。ウザイ、そして暑苦しい。…ウザイ」



ウザイって2回言ったよこの人!!




そんなこんな、僕を無視して読書に耽る先輩を眺めること、かれこれ一時間。先輩は一向に帰る気配ナシ。それどころか本が面白いのかギャハハと笑い転げる始末。


…デイダラ先輩のベッドの上で。


その様子をジーーっと見る僕は、今の先輩にとって空気以外の何者でもないのだろうか。




「あのー凛音先輩、一つ聞いていいっすか?」

「ん、何?いま山場なんだから手短にね」

視線を本に向けた儘空返事する先輩。僕との会話はその本以下ですか…


「…先輩は、デイダラ先輩と付き合ってるんですか?」

「あぁ、トビは暁に入ったばかりだから知らなかったか。私とデイダラはねームフフ、もうずいぶん前から恋人同士よ」



…知らなかった。いや、知ろうとしなかっただけかもしれない。気付かない振りをしたかったんだ。

嬉々としてデイダラを語る凛音は幸せそうに笑う。だがやはり、その瞳に映らない俺は今一体どんな顔をしているのだろう。



「まぁ私の話を聞きなさい、デイダラはね一見バカそうに見えてあれが実は超真面目&純粋で……」ペラペラ


なんか、面白くないな。


「…って、ちゃんと聞いてんのかオイ」


「凛音先輩ってば、いつもダルイ〜疲れた〜眠い〜しか言わないのに、今日は饒舌ですね?」


「そりゃあ、デイダラの話になれば私もよく喋る…って、てめぇ人のこと馬鹿にしてんのか?」



本当に、ベラベラとよく喋る。

自分の物にならないなら…

いっその事、

壊してしまおうか?





気が付けば、ベッドの上でデイダラを語る凛音の腕を掴み簡単に彼女を押し倒していた。



「………え?」

「…ちょっと、黙りましょうよ」


解るか?凛音。

信じられない物を見るかの様なその瞳は、今の俺を欲立たせるものでしかないんだ。



「やめっ……」

「お前が、悪いっ…」


あぁ、全てが壊れて行く。



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