夢の世界へ
□止める術は無い
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「ぅ、んー…」
見慣れた天井…
覚醒しきれない頭をフル回転させ必死に状況を把握しようとするが、
ダメだ、やけに身体が怠い。
暫くぼーっとしていると、襖の開く音に目を向けた…
「あ、起きた?」
「イズナ…」
氷枕を片手に、私の側へと近寄ってくるイズナ。マダラは…どこだろうか?
「三日だよ、」
「…え?」
「三日も寝てたんだよ?凜音、」
そんなに…眠ってたんだ。
「ごめんね、迷惑掛けて」
「僕は何も。さっきまで兄さんが凜音の傍に居たから、」
「マダラが?」
「凜音が起きないから心配しちゃってさ。兄さん、休む事も無ければ食事も取らずに、凜音の傍から離れなかったんだよ?」
「そ、だったんだ…」
小さく笑いながら、温くなった枕を冷えた氷枕へと替えてくれるイズナ。どこか冷たい表情をしているのは気の所為か…
「結局は僕が無理矢理休ませたんだけどね。兄さんは、うちはの頭領なんだから自覚を持って!って言ったら渋々と部屋に戻って行ったよ」
笑っているのに、目が笑っていない…
初めてイズナを怖いと感じた。
「…私、マダラの所に戻る」
「どうして?」
「色々と…思い出した事があって、それをマダラに話したいの。確認、したくて」
立ち上がろうとするも、流石に三日も寝ていただけあって身体がフラついた。
「もう少し横になってなよ。僕が傍に居るから」
「でも、マダラに会わなきゃ…」
フラつく私を支えてくれるイズナの手を振り払い、歩を進めようとした…のに。
あれ?
「どうしたの?イズナ…」
背中に感じるイズナの体温…
「ねぇ凜音、思い出したって…何を?」
抱きしめられていると気付くのに、少し時間が掛かった。
「え?…あ、えっと。私が、昔からマダラによく守られていたのを…思い出したの」
…何故抱きしめる必要が?
本来なら直ぐにでも振り払うべきなのだが、それが出来ないのはきっと…
イズナが震えているからだろう。
「そっか、思い出しちゃったんだ」
「イズナは…知ってたの?」
「ん、まぁね…」
なんで?
どうして教えてくれなかったの?
マダラもイズナも、さも私とマダラが初対面みたいな振りして、一体何を考えていたの?
「凜音、怒ってるでしょ?」
嗚呼ほら…それでいて二人共、私の事をよく理解しているのが…悔しい。