夢の世界へ

□拾い損ねた過去
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今日は、どこの家もバタバタと忙しい日を送っているだろう。なんせ明日は大晦日…



やれ掃除だ、やれ煮物だ煮豆だ餅搗きだと…新しい一年の始まりを気持ち良く迎えるべく、魚屋も八百屋もどこの店も騒がしくしている。





「えーっと、もち米を買って…っと」


手には魚や野菜が詰め込まれたカゴが…え?もち米持てるかな?




「まいどー!!」

米屋の店主から釣銭とやたら重い袋を受け取り、計画性の無い自分を呪いたくなった。


「あーあ、こんな事ならイズナでも連れて来れば良かった…」







ドン__


「いてっ!!」
「あ、ごめんなさい…」



立ち止まる事など出来ない程の人混み…押し流されて歩いていたら、すれ違い様に通行人と激しく肩がぶつかった。


と言っても、この人混みでは誰に当たったかなんて解りはせず、取り敢えず謝罪をしたら強く手首を掴まれ人気の無い場所まで引き寄せられた。






人混みから抜けていくにつれ視界に入ったその背中は、私の気分を落ち込ませるのには十分な程強烈で…

また、タイミングの悪い自分に苦笑もんです。








「あの…どうも。久しぶりって程でもないですけど、敢えて言わせて下さい。お久しぶりです」


「…アンタ、相変わらずな口の聞き方だね」

「その節はどうも。で、今日はどんな御用件でしょうか?」


「用件も何も、ぶつかって来たから引き止めたんだよ。謝りなさいよ」


「謝ったじゃないですか。ごめんなさいって」



明かに棒読みな自分の声に驚いた…

私にもこんな捻くれた一面があったなんて。


…だけど、マダラの為に作った稲荷寿司を台無しにされた件は許せないのだ。食べ物の怨みは恐ろしいぞ!!


それに、今日はリーダーらしき女の一人だけ。これなら私だって負ける気がしない…



「アンタさ、昔からマダラ様に守られてて勘違いしてんじゃない?嫁になったのだって、色目使ったりしたからでしょ?この淫乱!!」


「……は?」






何言ってんのこの人?

私がマダラに守られていた?昔から?



「…言っている意味が理解出来ないんだけど」


「だから、調子に乗るなって言ってんだよ!」


「答えになってな……っ!!」



――ズキン、



何?急に、頭が…イタイ…!!




「…っぅう!!」


ズキン!!!!


何かが、頭に入って来る…










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