小説

□明日の僕等は
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ふと、上を見上げると木の板だった。
つまり、自分の部屋の天上。
時計の短針は9のところに止まっている。今、午前9時。
昨日までは、この時間に上を見上げると青い空と眩しすぎる太陽の光でいっぱいだった。


「──あっつ!!」
照らしつける太陽に怒鳴るようにして、叫ぶ。
夏休みが始まったばかりの頃だ。
部活終わりの帰り道のことで、隣には大野がいた。
「マジ暑い。溶ける。なんで、こんな日にまで部活があるんだー」
「まぁ、午前中だけで良かったじゃん」
スポーツドリンクを口に含む。
生ぬるいそれでも、喉は潤んだ。
大野がため息をつく。
「まだ終わらないんだなぁ。部活」
「まぁな。でも、もうすぐだ!!やったね!!」
「ん〜そうだな。まっ今年もどうせ初戦負けだしな」
苦笑いのような笑みを浮かべて大野は言った。
俺らの所属している野球部は弱小だ。そのわりには、練習がキツイ。
そんな部活も、もうすぐ終わる。
「じゃあ、また明日」
「んー。じゃな」
ヒラリと手を振ると、大野は道を右に曲がって行った。
また明日。そうだ。明日も部活はある。
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