小説

□夜が明ける前に*
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「うわぁぁぁぁ!!」

悲鳴を上げながら私は起き上がった。
私の隣では、シュラが規則正しい呼吸をしながら眠っていた。
あぁ、あれは夢だったのか。

「なんで…」

なんで今頃思い出したのだろう。
赤い私。赤い部屋。赤い月。
吐き気がした。

「リラン?起きているの?」

一階からミコトさんの声。

「はい、起きてます」

急いで返事をして、寝ているシュラを起こす。

「シュラ、朝だよ。起きて」
「ん〜…」

返事をしたけれど、シュラは布団から出ない。
どうやら起きる気は無いらしい。
ほっと置いて一階に下りる。

「おはようございます」

出来るだけ爽やかな笑顔をするようにした。だけど出来てないのだろう。
だって、ミコトさんは不安をそうだもの。

「リラン…さっきの悲鳴は?」
「あぁ…」
「大丈夫なの?」
「はい」

嘘をつく。本当は全然大丈夫なんかじゃない。

「…はよーございます」

シュラが起きてきた。眠たげな目を擦っている。
明るい金髪には、寝癖がついていた。

「姉さん叫んだでしょ?」
「…で?」
「嫌な夢でも見たの?大丈夫?」
「…うん」

私は嘘をまた言う。
シュラは「ふぅん」と、言った。
特に興味があるわけじゃ無いみたいだ。

「二人とも、朝ごはんを食べましょう」

可愛らしい笑顔を浮かべて、ミコトさんが言った。
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