5人の狼
□第1話
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「花音、帰るぞ」
『あーい…ねーねートシー』
「あ?」
私、藤波花音といいます。
私が話かけたのは、幼なじみのトシ。
小さい頃からいつも一緒で、親同士も仲がいいんだ。
『今日さー…ウチに泊まってかない?』
「ブッ!!」
トシが飲んでた?マヨネーズを吹いちゃった。
「泊まるってお前…」
『実はさー…』
そう。
私だって、何も考えないで適当に言ったワケじゃあない。
ちゃんとした理由があるのだ。
『今日からまた、お母さん達居ないんだもん』
「あぁー…」
私の家はそれなりに裕福。
私の両親は、お父さんは結構大きな会社の社長さん、お母さんはその秘書をやってる。
だから両親が私を置いて海外に行くなんて事、もう慣れっこ。
…なんだけど、やっぱり家に1人というのは寂しい訳で。
だから、こうして今日もトシに頼んだんだ。
『お願いッ!』
「分あーったよ」
『本当!?
ありがとうっ!!』
これで夜は安心だ。
「あれれー、何2人で楽しそうに話してんですかィ?」
「総悟!
実はねー、今日ウチにトシに泊まりに来てもらうんだぁ♪』
「ふーん…
あ、俺も泊まりに行っていいですかィ?」
『えっ』
「俺んトコも昨日から姉上が旅行に行っちまってんでさァ」
『そうなの?
うん、いいよっ!ね、トシ?』
「あ、あぁ…」
−トシside−
どーも嫌な予感がする…
よりによって総悟まで来んのかよ…
チッ…
そんな事を考えていたら。
『じゃ、3人で帰ろー♪』
と教室のドアに向かって歩き出す花音。
俺も続こうとしたら…
ポンと肩を軽く叩かれた。
振り向くと、ドS顔全開の総悟がいた。
「花音と2人きりになんて
させやせんから」
と、言い残し、ドアの方へ向かって行った。
ハァァァァァァァァ!!?
確信犯かよ!!!!
…総悟には、絶対ェ負けねー…