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□日常記念日
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由梨が居候して数ヶ月。
俺と由梨が恋人になって1ヶ月。
なんとかキスまでこじつけて数日。
ようやく由梨の初々しさもなくなり、時々甘えて来るようにもなった。
『リョーマさん、今日は早く帰ってきてね』
「今日?何かあったっけ」
もちろん今日が何の日かは覚えてる。
しかし俺が覚えていないと思っているのか、由梨はメモ帳を握りしめて頬を膨らませた。
そんな由梨が可愛くて、ついクスクスと笑い声が漏れた。
「冗談。今日は1ヶ月記念日でしょ?ちゃんと覚えてるって」
『よかった、忘れてるかと思った!』
由梨は嬉しそうに笑い、俺に抱きついてきた。
最近の由梨は甘えたで、よく抱きついてきたり頭を撫でてくれと言ってきたりくる。
『ねぇ、だから今日はデート行こうよ!』
「ん、わかった。今日は部活もないからさ」
由梨の頭をくしゃりと撫でれば、由梨は嬉しそうに笑った。
「…ヤバっ!ごめん由梨、遅れるからもう行く。行ってきます!」
『いってらっしゃい』
由梨に見送られ、俺は家を出た。
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朝練があるため、俺は学校についてすぐに部室に入る。
まだ朝練の時間に余裕があるからか、部室には先輩達がいた。
「ちぃーす」
「よっ、越前!」
桃先輩が手をあげて声をかけてきた。
他の先輩達もおはようだとか声をかけてきた。
「さっき話してたんだけどよぉ、今日の放課後遊びに行かね?遊びっつーかストテニなんだけどよ」
…俺も人の事言えないけど、先輩らも相当のテニスバカだよね。
テニス休みの日もテニスするなんて、由梨に会う前の俺みたいだ。
「俺、今日デートだからパス」
先輩達が大袈裟に溜息を吐いた。
このバカップルめ、そんな声が聞こえた。
いや、別にバカップルって程じゃないと思う。
「お前、最近付き合い悪ぃよな」
桃先輩が溜息交じりに言った。
「しょーがないじゃないっスか。先輩だって彼女出来たら分かるよ」
「うっせーよ!お、俺だって彼女くらい…!」
「いるんスか?」
「…………いねぇよ」
桃先輩は落ち込んだのか、もうこいつヤダ…と言いながら頭を抱えた。
「ほらほら、もうすぐ始まるよ。急がないと手塚に走らされるんじゃない?」
「うぃーす」
不二先輩に言われ、着替え終えた俺と先輩達はラケットを手に部室を出た。
「よっしゃー越前、勝負だ!今日こそ泣かす!」
「はいはい、逆に桃先輩が泣かないようにね」
メニューにある練習試合をするため、俺と桃先輩はテニスコートに入った。
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