恋の季節の1ページ
□Title of COLORS
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『記憶の中の青』
青い海、青い空。
俺をとりまくものの色は、何ひとつ変わっちゃいないはずだ。
けれど、いま目に映る青と、記憶の中の青とは、まるで鮮やかさがちがって見える。
記憶の中の青は、
変わらず
綺麗だ。
変わらず
俺に微笑みかけてくる。
たったひとつ。
たったひと粒の青い宝玉をなくしただけで、すべての色が失せちまった。
まるで俺はアイツを通して、世界を見てたんじゃないかって気がしてくる。
海の音も空の速度も、
何も変わらねぇ。
色だけが、違う。
俺は空に手を伸ばした。
叶うならもう一度、世界の色を変える宝玉を手に入れたいと
願う。
海の青さも空の青さも、何も、変わるなど思いもしなかった
あの頃。
あの頃が、やけに恋しくて。
焦がれて、空に手を伸ばした。
あの頃。
アイツが居て、みんなが居た。
ひとりで見る同じ景色は
色が足りない。
アイツの色が、足りない。
2007.09.04