恋の季節の1ページ

□Title of COLORS
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『黒い渦』



永遠なんかないってことに気付くのは、いつも、今更だ。


好きで好きで好き過ぎて、他のものは何ひとつ見えなかった。

情熱、直情。

何て言ってもぴったり合う言葉なんかないくらい、焦がれてたのに。

いつからだろう。
どこか冷めた目をしてるもうひとりの自分が、何か囁くようになったのは。

それを考えねぇように、気付かねぇように、無視してるけど。
追いやっても追いやっても、大きくなる心ん中の氷山。


心底俺になついて、俺に屈託のない笑顔見せて、素直に抱かれて。
そんなアイツが可哀想じゃねぇか。


ずっと一緒にいような。

熱に浮かされて、交した約束が目の前をチラつく。

簡単に裏切れねぇよ。
傷付けたくねぇんだ。


別れ話をきりだしたときの、相手の凍りついた表情。
何度経験しても、見るのは辛くて慣れない。
笑顔でお別れなんて、有り得ねぇだろう。
だから別れなんだ。

悲しむ顔は見たくねぇ。
でも、以前みたいに夢中じゃねぇんだ。

俺の考えなんて露とも知らねぇお前が、可愛い笑顔を見せるたびに。
俺の中で暗い考えが渦を巻く。


いっそ鷹の目にでも返り討ちにあってくれりゃいいのに、なんて思ってしまう。

お前を傷付けたくねぇから。
お前を傷付けたと自己嫌悪したくねぇから。

そんな自分が嫌で――
むしろ、お前が俺を殺してくれりゃ楽なのに。
そんな場面を想像してみる。






世の中に絶対も永遠も
変わらないものなんか
ひとつも無い。
この胸を焦がす激情の炎も
いつかは
燃え尽きてしまうのだろう。


2007.09.04

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