恋の季節の1ページ
□2006年のサンゾロ
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陽が短くなってきたせいか、やけに人肌恋しい、秋の夕暮れ。
少ししんみりした気分に浸りながら。
俺はぼんやりと、沈み行く太陽を眺めていた。
ふと気配に振り向けば、愛しい俺のハニーが立っていた。
俺を見るゾロの表情は、ちょっと心配そうな面持ち。
「何?」
「元気ねぇな、と思って。
やっとお迎えが来たか?」
悪態つきつつ、ゾロは俺の隣に並んで、海に目を遣った。
「俺が元気ねぇと、心配?
嬉しいねぇ」
怒られるかな、と思ったけど。
腰に回した手も振り払われなかったし、ゾロが大人しく目を閉じたから。
俺は軽く唇を合わせて、ゾロを抱き寄せた。
良い季節だなと思った。
『人肌恋しい季節』
2007.06.13サルベージ