恋の季節の1ページ

□2008年のサンゾロ
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『別れ道』


「お前みてぇに頭良かったらな〜」

進路希望の紙をもてあそびながら、不意にゾロが呟いた。

…珍しい。

楽観的で能天気なゾロでも、やっぱ人並みに悩むんだな。

「なに、俺くらい頭良かったら、女の子にモテるだろうな、って?」

そんな軽い話じゃないって、分かってる。
進学か就職か、将来を左右する選択だ。

決定打は八割、成績。
俺(天才)とゾロ(馬鹿)とじゃ、どっちが有利かなんて、考えるまでもない。

「お前みてーに頭良かったら、進路、よりどりみどりだろ」

当たり前だ。天才なんだから。
でも大学なんて、実はどうでもいい。(将来は家業を継ぐし)


あえて進学するなら、希望は、ただひとつ。
あと4年間、ゾロと一緒に居られるなら。
ゾロと同じ大学に行きたい。


無二の親友。
違う大学に行っても、この『肩書き』は変わらねぇと信じてるけど。

いつも側に、一緒に、居たい。
同じ時間を過ごして、一生忘れない同じ思い出を、いくつも作りたい。

ついに進路希望の紙を書くのを諦めた様子で、机に突っ伏すゾロ。俺を見上げて、恨めしそうに言った。

「進路、即決だろ」

バカ言え。

「そうでもねぇよ」

悩みまくりだ。
もう進路なんか考えたくねぇ。

「そうか」

「そうだ」

オマエのせいだ。

卒業、したくねぇ。
離れたくねぇんだよ、お前と。

そんなことを思って、俺は進路を、決められねぇでいた。




――9月、将来を考える時期。







進む道、選ぶ道に
正解はあるのだろうか。
2009.06.08 Renew

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