恋の季節の1ページ

□2008年のサンゾロ
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『今年もヤベェ』



「あー、ヤベェ」

「毎回ヤベェって言ってんな、お前」

配られたプリントに目を通し、頭をかきむしる。
対するサンジは余裕綽々。

「分かってんなら教えろ。今年はますますヤベェ」

「ゾロくん、それが人にモノを頼む態度かい?」

先生の口調を真似て、サンジが偉そうに言う。
こーゆーところはイラっとするが、コレばっかりは俺が悪ィから、しょうがねぇ。

「あーハイハイ。お願いしますサンジ先生。俺に勉強教えてください」

投げやりに言えば、サンジは「良く出来ました」と笑って、胸を叩いた。

「俺に任せとけ。ばっちり教えてやる」



ってなワケで。
テスト前は、学校から俺の部屋に直行で、勉強会。

「悪ぃな、ホント」

「悪いと思ってんなら、日頃から勉強しとけ」

余計なお世話だ。

「あー。ここ違う、こーじゃねぇよ」

散乱するノートや参考書を丸っと投げ出してぇのを我慢して、サンジの説明を必死に聞く。

「わかんねぇ」

「んならもっぺん説明すんぞ」




テストは嫌だが、勉強ついでにサンジが作ってくれる晩飯は、マジでうめぇし。
晩飯は普段ひとりだから、誰かと晩飯を食えるのは嬉しいし。

これで赤点無しなら、最高なんだけどな…。




数日後――。

テストを返却しながら、ニッコリと笑いかけてくる先生。
答案とその顔を見比べる。
…やっぱり。
先生の顔は笑っているが、目は笑ってねェ。

「ロロノアくん。惜しかったけど、今回も追試だね。補習は受けるように」



…勉強なんて、頭に入らねェっての。




――5月、中間テスト。







勉強に集中できない理由があったらしい。
2009.06.08 Renew

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