恋の季節の1ページ
□2008年のサンゾロ
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『三年目』
自分の名前よりも先に、見つけたアイツの名前。
つい自分よりもゾロのことを気にかけてしまう自分に苦笑しながら、自分の名前も探す。
書き連ねられた名前を、祈るように目で追う。
…あ、あった。
「やった、今年も同じっ!!」
俺は小躍りして、隣のゾロに抱きつく勢い。
アイツは未だ自分の名前を見つけてない様子で、ぼんやりと大きな掲示板を見上げていた。
「サンジ…また、一緒か?」
振り向いたゾロは、気難しげな表情。
でもそれが、半分は照れ隠しだって分かってるから。
俺はしつこく「同じクラス、嬉しいだろ?」と聞いてやる。
素直じゃねェゾロは、無理矢理にでも言わせなきゃ、嬉しいことも嬉しいって、言わねぇもんで。
もう二年間、見てきたから。
ゾロの癖も性格も、手に取るようにわかっちまう。それくらい、見てきたから。
「何、嬉しくねぇの?」
俺が拗ねたふりして唇を尖らせると、ゾロはやっと笑って(苦笑だったけど)言った。
「嬉しいよ。――だから、ヨロシクな、三年目も」
そう、三年目だ。
アイツと出会って、三年目。
恋に落ちて、三年目。
胸の想いを告げられるはずもなく、日々大きくなる想いを抱えて、三年目だ。
「こちらこそ、ヨロシク」
ゾロの笑顔に照れ臭くなって、答えながらも外した視線に、飛び込んできた桜。
この桜を、もう一緒に見られないかもしれないと思うと、少し切ない気が、した。
――4月、新学期。
2009.06.08 Renew