恋の季節の1ページ

□2008年のサンゾロ
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『ごめんね神様』


――12月31日午後八時。

「お前、紅白とか見るの」

『見ると思うか?』

電話越しのゾロの声は、少し眠そう。俺が誘わなきゃ、きっと寝正月なんだろう。

「じゃあさー初詣行こうぜ」

後で迎えに行くから、と電話を切った。



――12月31日午後十時。

「で、どこ行くんだ?」

気合い入れて来た俺と、普段着のゾロと、並んで夜道を行く。

「ちょっと遠いけどさ、」

有名な神社の名前を挙げた。

「受験生だし、きっちりお詣りしとくのも、悪くねーかな、と思ってさ」

「どこでも一緒だろ」

きっとゾロは何処の神社でも、いや初詣自体さえ、どうでもいいんだろう。

それは、俺も大差ない。
ゾロと一緒に出かける口実になるなら、何でも何処でもいい。

何て、罰当たりな俺たち。


1月1日午前零時

「お前、何てお祈りしたの?」

気になって聞いた。ゾロのことで、気にならないことはない。

「…別に」

「別にって。頭良くなりますよーに、とかだろ」

「それで良いよ。お前は?」

まともな返答があるとは思わなかったけど、質問されるとは、もっと思わなかった。

「おっ、俺?……秘密

ちょっと焦った。
言えるワケねーじゃん。

「あぁ、でも神様にはちゃんと謝っといたから」

「はぁ?」



神様、罰当たりな俺たちでごめんなさい。
でもどうか、俺たちを見守り、助けて下さい。

そして、この想いが叶わなくても、ゾロの側にずっと、居られますように。




――1月、初詣。







――祈る
その対象より事象が大事かと
2009.07.08

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