海賊

□空 【2n】
2ページ/2ページ



――たまに思う。

毎日、メシの用意と後片付けに追われて、朝焼けも夕陽も見れねェ。

昼間は菓子を焼いてて――俺用に甘くねェやつを、別に作ってて――
青空に白雲が流れる様を見る暇もねェ。

そんなコイツは…、

きつくねェのか、とか。
ゴロ寝したくねェのか、とか。
過労で倒れやしねェか、とか。


――いや。ホントは…。


「…空、綺麗だなァ」

不意にサンジが呟いた。

「だろ」

「ああ。でも、こーやって空、見てっとさぁ」

空から俺に目線を移して、サンジがニヤッと笑う。

「お前が視界に入ってきやがる……邪魔だな」

「ああ?」

俺はムッとしてサンジを睨む。

…ンだよ。
人がせっかく…。


「…冗談」

だから怒んなよ、
と笑って、サンジはすっと手を伸ばした。
その手は俺の首筋に触れ…。

サンジが俺を引き寄せる。


「…たまには良いな、こーゆーのも」

軽く触れ合った唇を離して、サンジが微笑った。

「だろ」

俺は何となく勝ったみてェで、気分が良くなった。




たまに思うんだ。
――ホントは。
コイツとただのんびりしてェ。
って。


今日みたいに。






――fine







2006.01.22 ひよこ拝



Novel menuへ戻る
Menuへ戻る
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ