海賊

□空 【2n】
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今日は、空が綺麗だ。

目覚めて、俺は思った。



だけど、アイツは今日も、忙しそうだから。

朝メシ晩メシは当然みてェで、
さらに三時のオヤツだとか、
見張りには夜食だとか、
挙げ句の果てには、盗み食いと戦って。
アイツはいつも、働いてる。

そんなんだからアイツにゃ、空が綺麗だとか気付く余裕が、ねェ。


だから俺は、ひとりでぼんやり空を見上げてた。




「寝腐れマリモ、餌だぞ」

こうばしい匂いをともなって、船尾にコックがやって来た。

「…アップルパイ?」

サンジの持つ皿に目をやって、俺は呟いた。

俺の言葉に、ニカッと笑って答える、サンジ。

「特製だ。心して食え」

サンジは皿を俺に渡すと、さっさと立ち去る。――いつもは。

だが、今日は、まだ俺の前に居てる。


「何だよ?」

サンジの腕を、つかんでいたからだ。…俺が。

「…座れ」

俺はサンジの腕を引いて、無理矢理、俺の左横に座らせた。

「何だよ〜。俺忙しいの…」

サンジの言葉を遮って、俺はサンジの身体を引き倒す。

「お、おいっ?!」

俺に膝枕される格好になったサンジが、慌てて起き上がろうとする。
その肩を抑えて俺は、言った。

「たまには昼寝でもしろや」

「眠くねェって。お前じゃねェんだから」

「じゃあ空でも見てろ」




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