海賊

□ひざまくら 【5n】
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「ゾーロ。好きっ」

まどろむゾロを見てたら、堪らなくそう言いたくなって、俺はゾロに抱きついた。

「…ああ」

ゾロは微かに笑って、俺を抱いたまま、身体を起こす。
毛布がはらりと落ちて、裸の上半身が露になった。


知らぬ町の、安宿。
――情事の後。

閉めきられたカーテンの隙間から、夕陽が柔らかく差し込んでいた。

真昼間から情事に溺れるなんて――不道徳、不謹慎、等々と。後ろめたい気も、多少はあったんだけど。

それよりも、久しぶりの上陸で――つまり、久しぶりの二人きりで、好きなヤツとイチャイチャしてぇって気持ちの方が、クソでけぇに決まってるだろ。


と言う訳で。
島に着いて早々、俺とゾロは安宿の一室に籠った。
それが昼前。

そして、もう、日暮れ。

光陰矢の如し。時の経つのの、何とはやくて無慈悲なことか。と、俺はつい溜め息を洩らしていた。

「ん、どした?」

気付いて、ゾロが問う。

「いや。…もっと一緒に居てぇなぁ、と思ってさ」

「…馬鹿。いつも一緒だろが」

優しく笑って、ゾロは俺の髪をくしゃっと混ぜた。
それが嬉しくて、俺はゾロの胸に顔を埋めた。


愛し合った後はゾロも俺も、とても素直になれる。
今だって、互いの体温を分かち合うみてぇに、ぴったりと寄り添ってんだぜ。
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