海賊

□君のための愛の言葉【4n】
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「ゾロ」

呼ばれて顔を上げれば、俺を見つめるサンジの、緩みきった笑顔。

「ゾロ、好き」

情けねぇったらありゃしねぇ。
んなに鼻の下のばしてよ。

けど、まぁ…何だ。
悪ぃ気はしねぇから。

「ああ」

俺は抱きついてきたサンジの、その白い背中を、抱きしめ返してやる。



食料補給としばしの休息の為に寄港した、その日のうちに、俺はサンジと街に出た訳なんだが。

真っ昼間からヤリてぇなんて、ったく…しょうがねぇエロコックだ。
…それに付き合う俺も俺だが。

つー訳で、俺とサンジは安宿の一室にいる。

久しぶりだったし、何より、一発終わった後のコイツは素直で――

それが嬉しいから、抱かれる、なんて…俺も来るとこまで来ちまったよなぁ。

やっぱ俺も、コイツが好き、だから。


だいたいサンジのヤツ、普段、船の上じゃあ態度が悪すぎる。

ことある度に喧嘩ふってきて、嫌味ばっか言ってきて。

その酷さたるや、俺たち恋人同士じゃねぇの?って疑っちまうくれぇだ。


まぁ、皆の手前、あんまイチャイチャも出来ねぇけどよ。
ちょっとは優しくしてくれてもいいじゃねぇか。

サンジのヤツ、俺に優しくするよりも、皆にバレないようにする方が大事みてぇでさ。
ンなにバレたくないかねぇ。

いつも女にゃデレデレしてっから、今更、俺が恋人です、ってバラしたくねぇのかもな。

なんて考えながら、ボロいベッドん中で、ぴったり身を寄せるサンジを見てたら。
サンジが、小さな溜め息をもらしたのに、気付いた。

「どした?」

俺が問うと、サンジはちょっとはにかんで答える。

「もっと一緒に居てぇなぁ、と思ってさ」

…ほら、ふたりきりのときは、こんなに素直なのに。

「馬鹿。いつも一緒だろが」

サンジが素直なのが嬉しくて、つい俺は笑顔になる。
その髪をまぜてやると、サンジも照れたように笑った。



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