海賊

□名前を呼んで 【R,6n】
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――ったく、気に入らねェ。

スカしてて、何考えてんのかわかんねぇし。
あんま話さねぇクセに、クチを開けば、イチイチ俺の気に障るようなことばっかり言いいやがるし。

他のクルーたちとは、楽しそうに談笑できんのによ。
俺にばっか、突っかかって来やがって。
…そんなに新メンバーが気に食わねェかよ。


アーロンパークで一緒に戦ったときは、気が合いそうだと思ったけどよ。
いざ、船に乗ってみりゃぁ、何だ。 毎日、顔合わせる度に言い合って、喧嘩だ。

一瞬でも気が合いそう、とか思っちまって、激しく後悔だぜ。

しっかし、何でかねぇ。
あの馬鹿船長はともかく、ナミさんまで。
アイツのこと信頼しきってるみてぇなのも、気に入らねェ。

あんなヤツの、どこが良いのかねぇ。
寝る、酒飲む、鍛える、しかしねぇ単純マリモじゃねぇか。
しかも鷹の目にやられた傷が、ぜんぜん治ってねぇてのに、鉄アレイ振り回してるような、馬鹿マリモだ。
  
俺の方が、よっぽどイイ男だろーが。なぁ、ナミさん?


そういえば、今日も喧嘩した。
もうその原因も思い出せないような、くだらねェことで。

それでも、アイツのパンチを5発も食らったことだけは、すぐに思い出せて。
俺はイライラしながら、明日の朝食の仕込みをしていた。




不意にキッチンのドアが開く。
ウワサをすればなんとやら、ゾロだ。
(ウワサはしてねぇが、思い出してたんだから一緒だろってことで)
  
  
ゾロは俺の方を見もせずに、黙って酒を漁ってやがる。
あーもー、イライラすんなァ。
キッチンの主がいるってのに、ひとことぐれぇ断れねぇの?  
  
いっぺん泣かせてやりてぇ、と思って。
昼間の喧嘩の原因を、ふと思い出した。と同時に俺のクチから、つい、滑り出る文句。

「お前、そんなんだから女、できねぇんだよ」

そう、コイツ、まだ誰とも付き合ったことねぇんだってさ。
昼間、ウソップとコイツとそんな話をしてて――
ちょっとからかってやったら、喧嘩になったんだった。


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