忍者のたまご

□染まる白樺 おまけ
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!おまけと云う名の後日談


(なんで今更出てくるんだ…)

留三郎に算盤を直して貰って十日。やっとあの珠を見ても動じず計算が出来るようになってきた矢先の事だった。
俺があの時無くしたと思ったら算盤の珠が、どこからか転がり出てきたのだ。あの時はどれだけ探しても見つからなかったと言うのに、何で今更。

算盤は別に今のままでも機能としては問題ないが、見るのがまだ、少し困る。色々と。
付け直して貰おうかと思ったらが二度手間になってしまうし、「有るじゃねぇか何でもっとちゃんと探さねぇんだよ」などと、小言が返ってきそうだ。それに何より、あの袋を持ってきた留三郎の顔が忘れられなかった。

「…」

どうしようかと考えた末、俺の手の中には紐が付いた小さな巾着袋が納まっていた。それに珠を入れて、首から下げる。巾着袋は邪魔にならないよう服の中へ。

我ながら自分らしく無いと思う。仙蔵などに万が一でも見つかれば、からかわれる程度ではすまないだろうな。
それでも、あいつが三年も持っていた事を思えば、何故かこうしようと思ったのだ。

留三郎が持っていた袋の中には珠が二つ、入っていた。算盤を直すのに一つ使って。…もう一つはまた、あの袋の中へ戻っているのだろう。

こんな事を考えてしまう辺りが、ああもう、本当に俺らしくない。

他の誰に知れてしまっても、あいつにだけは知られないようにしなければと、俺は胸元にある物を握り締めたのだった。


‐終

もんじは、一個だけ色の違うあの珠見て、動揺して計算ミスしまくればよいよ^^


*2009.6.20


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