短編集
□Toi et Moi
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「いらっしゃいま」
俺は入って来た客の顔を見て、声のトーンを下げる。
「何、」
「そんな仏頂面するなよ」
バイト君、と桐は笑いながら、カフェオレ、と注文する。左手に抱えているのはバラバラの資料。イートイン決定。
「三百二十円です」
「影月のツケで」
「出来るか」
「冗談冗談」
六百八十円の釣りとレシートを桐に渡し、プレートにソーサーとスプーンを乗せる。注文を聞いていた八意チーフが、そこにカフェオレを置いた。
「ごゆっくり」
俺はプレートを渡す。
「お前が言うと皮肉にしか聞こえない」
また桐は笑って、テーブル席に向かう。四人掛けを一人で使う気だ。レポートなら自分の家でやれ。