The Song for OWLS

□七、汚濁
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 山叉政勝。
 その寝床に忍び入る。一人だ。
「む…たれじゃ…」
 さすが、勘は鋭い。むっくりと体を起こす。
「昼間の軽業師、千加でございます」
「そうか…どうした」
 しかし、どうして入って来られたのか、そういう頭は働かないらしい。
「有り余るほどの褒美を頂きましたので」
 つつつ、と山叉政勝に寄る。襟ぐりを大きく開けてある。そこから覗く、白い肌。
「こんな小娘で宜しければ、伽をさせて頂きとうございます」
 言い終わるや否や男の手は千加を組み伏せた。

 襟をこじ開け、首筋に舌を沿わす。ぴり、と体が痺れるような感覚がある。その感覚がたまらないのか、山叉は何度も何度もそうする。千加が掠れた声で喘ぐ。
 股の間が熱い。女の腿を開き、愛撫する。求めるように千加は腕を伸ばす。そして。
「うぅ」
 という籠もった声。山叉の瞳孔が開き、動かなくなる。千加は山叉から離れた。頸椎に刺した針を抜く。首筋に塗った毒を拭い、黒装束へ戻る。
 倒れている巨体、股には白い液体が広がっている。
「汚い」千加は呟いた。


「殿!殿!」
 殿の部屋、夜分に失礼だとは思うが、そのお命には変えられない。私は必死に叫んだが、中から返事はない。開けようとしても開かない。鍵など掛けようもないのに。
 どうした、と城詰めの方々が来た。
「今し方、殿への刺客と思われる者を目にした。殿が心配だ」
 その刺客が昼間の軽業師だ、とは言えなかった。
「殿」
 と皆で声を掛けるがやはり返事はない。仕方がない、と障子を蹴倒す。
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