The Song for OWLS

□四、対話
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 宴は御開きとなった。
 私は軽業師の二人を門まで送るよう言われ、二人と共に廊下を歩いている。
「言葉も出ないような技の数々でした」
「どうも」
 これは兄。素っ気ない。
「もぅ、にぃ…ごめんなさい」
 と妹。
「でもあなたも、もっと早くいらっしゃればよかったのに」
「そうだな」
「すまなかった」
「あんなに慌てた様子で、何かあったんですか?」
 私は二人の前を歩いているので二人の表情がわからない。
「私は…」
「翔太郎」
「姫様!」
 廊下の突き当たりを右へ曲がろうとした時、藍様が私達を引き止めた。お一人だ。
「いかがされましたか」
「話があります。他の者には内密に」
 誰と話があるのか。藍様の目を向けた先には。
「良いですか」
「はぁ」
 軽業師、兄の方。


「どうぞ」
 と藍は六助に席を勧めた。自分も向かいに座る。
「山叉の姫様が、こんな軽業師に何の用ですか」
「…あなた、先日私の所へ来ましたね」
 はて、と六助の顔。
「何のことだか、俺には」
 さっぱり。
「質問を変えましょう」
 藍は梅を呼ぶ。
「…あれを」
 あれ、とは。
 梅の持って来た細長い包み。梅を下がらせ、藍は六助にそれを手渡し、六助は包みを開く。
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