The Song for OWLS
□一、事始メ
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「ほう」
部屋は暗く、広い。
上座には、禿頭の男。
下座には、黒い装束の者が二人。畳に拳をつき、禿頭の男の前に。
「正に、これじゃ」
禿頭は手元の巻物を仕舞う。そして、そばに置いた重い包みを二人に渡す。
「良くやってくれた、炎響、光孤。これを」
かち、と金のぶつかる音。
The Song for OWLS
戦国の世は終わらんとしている。織田、豊臣と時の権力者は移り、徳川は関東の地に腰を据える。太閤亡き後の豊臣の衰退は言うまでもなく、徳川の隆盛もまた言うに及ばず。
幾度目かの領地換えを経て、今、この阜礼城の主は山叉政勝という、徳川方の巨漢。その城下町の整備は着々と進んで、既にあちこちに賑わいを見る。
物語はその町の一角から始まる。