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□花街8
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あれから幾日かが過ぎた。
自分の身売りが決まり
今は、何もないこの部屋に閉じ込められている。
必要限度の棚や机等の家具と、寝具のみが置かれた其処に。
一定の時間毎に様子を見に来る見張りの者。
退屈せぬようにと、ファントムが置いていった
幾つかの本に手をつけることも無く
ただずっと、格子窓の向こうを見つめるばかり。
籠の中の鳥。
青い空へ羽ばたくことも出来ずに
そこに囚われ続けるその姿は、とても自分に酷似していて。
何も出来ない無力な自分。
今も、昔も・・・。