星と恋のSketch book
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〜斎藤side〜
最後の悪足掻きをしてから家に帰った
雪村に謝罪をしなければ
そう思うのに中々押せないボタン
斎藤「…最低だな、俺は」
ベッドに寝転び溜息を吐いていた
ピンポーーン……
部屋に鳴り響くインターフォン
渋々腰を上げて玄関に向かえば
斎藤「…はい、…梨瑠」
悪足掻きの
終わりへのカウントダウン
梨瑠「一君に返事…しに来たの」
斎藤「入るか?」
梨瑠「ううん、ここでいい」
梨瑠/斎「…………」
梨瑠「私はね、今は総司君が好き。何より大好き」
斎藤「…………」
梨瑠「だから、一君の気持ちには答えられない。ごめんなさい」
斎藤「…いや…、わかっていた」
梨瑠「え?」
斎藤「わかっていたが、抑える事が出来なかった。好いてる女の幸せを願ってやれないなど…俺は心底醜いな」
梨瑠「…それなら私だってそうだよ」
斎藤「?」
梨瑠「いつだって一君が後悔すればいい、別れちゃえばいい、独りになって私に縋ってきてほしい、そんな事ばかり思ってた」
斎藤「…梨瑠」
梨瑠「だけど、違うって気付いたの。総司くんに出会って彼を見て自分自身の幸せより相手を想うのがどれ程辛くて、どれ程幸せかを教わった。だから私はもう逃げない。待っていてくれるか何てわからないけど、総司くんとの約束果たしてみせる」
斎藤「約束?」
梨瑠「うん!それはね…
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ーーー
ー
ー空港ー
斎藤「行ったか」
見上げる青い空
泳ぐ様に飛んで行く飛行機
梨瑠、俺もあんたに教わった
後悔や嫉妬
恋心や愛情
好いてる者の
幸せを願う辛さと喜び
お前には酷い事も言った
だが、
覚えていてほしい
俺はお前を信じてる
約束とやらを果たして
必ず、帰って来い…
*・*・*
斎藤「もしもし?雪村か?」
俺もお前に約束しよう
次会う時は
梨瑠の幸せを願える男になってみせる
と。
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