星と恋のSketch book
□18
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梨瑠「一君?」
斎藤「………」
梨瑠「一君、待って!」
斎藤「………」
梨瑠「一君ってば!!」
呼びかけに漸く足を止めた俺
振り返ると
不安気に顔を歪める梨瑠がいた
no,18 遅過ぎた想い
梨瑠「一君、私、総司くんに泣かされた訳じゃないよ?」
斎藤「しかし…」
梨瑠「嬉しかったの。私の絵をお父さんの絵より肯定してくれたのは総司くんが初めてだったから」
頬を染めて話す梨瑠
次の瞬間、一番聞きたくない台詞を梨瑠から聞く事になった
梨瑠「私ね、本当はずっと一君が好きだった。雪村さんと付き合った時は辛くて辛くて堪らなかった。正直…、早く別れちゃえばいいのにって思った…」
斎藤「梨瑠…俺は…
梨瑠「でも、大丈夫!私には総司くんがいる。だから一君も、もう雪村さんだけを見てあげて?今はちゃんと二人の幸せを願える様になったって気が付けたから」
にっこりと
俺の大好きな笑顔で微笑む梨瑠
斎藤「…嫌…だ…」
梨瑠「一君?」
俺は梨瑠を抱きしめた
梨瑠「一君?!!」
斎藤「…俺とて、子供の頃から
梨瑠を好いていた。だが、お前を傷つけるのが怖ろしく逃げた」
梨瑠「一君が…私…を…?
斎藤「梨瑠を好いてる。誰にも渡したくない、頼む、もう一度…俺の側にいてくれないか」
梨瑠「…な…
戸惑う梨瑠に唇を寄せた
目の前にいる男が鋭く俺を睨んでいても関係ない
俺は梨瑠が好きだ
もう誤魔化せん
お前を奪い返すくらいなら、いくらでも憎まれ役を買ってでよう
沖田「…何してるの…」
斎藤「見てわからんか?」
梨瑠「…総司…く…ん」
斎藤「梨瑠、返事は待つ。余り長い間は待てんが」
後は揉めればいい
そんな黒い気持ちを渦巻かせその場を去った
雪村も…
梨瑠も…
総司も…
俺は何人の人を傷付ければ気が済むのだろうか
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