星と恋のSketch book

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〜沖田side〜



沖田「え…っ、と…」


美術館に着くと驚いた

だってさ


《高坂 忠臣 絵画展》


と書かれてある

つまりは梨瑠ちゃんのお父さんって事だよね?




梨瑠「ごめんね、黙ってて」

沖田「いや、そんなのはいいんだけど…大丈夫なの?」

梨瑠「大丈夫だよ、逃げないって決めたから」




確かに梨瑠ちゃんの表情はしっかりと前を見て、強い目をしていた

だけど、やっぱりちょっとは怖いよね…

震える手を必死に隠そうとする梨瑠ちゃん

…ちいさなその手を僕はそっと繋いだ




沖田「君には僕がいるよ」



そんな想いも込めて







◇・◇・◇・◇






美術館に入ると梨瑠ちゃんは真っ先にお父さんのブースへ向かった

僕は彼女に手を引かれるまま付いていく



そこにある梨瑠ちゃんのお父さんの作品を見て思った事







《何とも無心になる絵》








悪いけどさ、

僕は梨瑠ちゃんの絵の方が好き


彼女の絵には感情があって

見ているだけで物語に吸い込まれた様な気がする





沖田「……つまんない…」

梨瑠「え?」



はっ!!

僕の言葉に目を見開いてビックリしてる梨瑠ちゃん

最悪だ…

親の悪口言っちゃったよ…



沖田「ゃ、確かに綺麗だよ?綺麗なんだけど…

何だか余りに感情が無さ過ぎて【綺麗】くらいしか思いつかないなって」

梨瑠「…感情が…ない…」

沖田「うん。梨瑠ちゃんの絵は感情がしっかりあって【楽しい】とか【嬉しい】とか喜怒哀楽の色んな感情が伝わってくるけど」

梨瑠「………」

沖田「君のお父さんの絵は【無心】で何も感じない」



一枚の絵を眺める梨瑠ちゃん



沖田「僕はやっぱり梨瑠ちゃんの描く絵の方が好きだな」






うんうん

と一人頷きながら隣に並ぶ梨瑠ちゃんを見た




沖田「え?!ちょ、梨瑠ちゃん?!!」

梨瑠「へ?ぁ…」



ポロポロと涙を流す君

だけど流れゆく涙は無意識なのか指で拭いては驚いてる



沖田「ぼ、僕何か余計な事言ったかな…」

梨瑠「ち、…が…


梨瑠ちゃんの涙を拭おう、そう思って手を伸ばしかけた

その時ーーーーー





??「何をしているっっ!!!」











一人の蒼い目をした男が彼女の前に立ちはだかり僕を睨みつけた



沖田「なっ……」
??「梨瑠を泣かせる奴は許さんと…言った筈だ」

梨瑠「…違…」

??「やはり、お前には梨瑠を任せておけん」

沖田「ちょ?!」




梨瑠「ひぁ?!」




一君は僕の制止を強引に振り切って、梨瑠ちゃんの手を引き風の様に去って行った


ーーーーーーーーーー

ーーーー








もうすぐ




お姫様にかかった呪いは






解けてしまうのかな……


.
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