星と恋のSketch book

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学校へ登校すると


ぁ、総司君だ!


私は迷いもなく彼の元へ向かった


梨瑠「そ……

沖田「僕は梨瑠ちゃんを、梨瑠ちゃんの絵を信じてる。君みたいに真っ向から疑ったりしない」

斎藤「それは総司、あんたが何も知らぬからだ!!賞など取ろうと思って直ぐに取れるわけではない!!!大体、お前は…




…総司君は…

一君と言い争っていた





私には、才能がない…って思ってたの?一君も?

私のお父さんと同じ様に?








頑張れ


私の絵が好きだって言いながら







嘲笑っていたの…?






カタンッ


沖田/斎藤「ん?/む?」



梨瑠「ぁ…」



斎藤「梨瑠!!違うのだ、今のは…」
梨瑠「…確かに私、才能ないけど…、分かってるけど…









一君には

一君だけには
……言われたくなかった…」


斎藤「違う!待て、梨瑠!!」

梨瑠「…っ!来ないで…」



私はその場から逃げ出した







馬鹿みたい

一体私は
何を信じてきたんだろう



《いつかお父さんみたいに》

《いつか絵描きに》



いつか、いつかって現実から目を背けて逃げて…




でも




嬉しかったの。




嘘でも私の絵が好きだって

私の創り出す世界が好きだって言ってくれた

その、言葉が…




嬉しかったの。





ガシッ!!!

梨瑠「…ゃっ」

沖田「梨瑠ちゃん!!!」

梨瑠「そ、うじく…ん」



ぎゅっ

彼は私を逃がさないと言う様に背に手を回し抱きしめた



沖田「梨瑠ちゃん、僕は君を信じてるよ。本当に、君なら出来るって思ってる」

梨瑠「嘘よ、ずっと側にいてくれた一君ですら…

沖田「もう一君、一君言わないで!!!!」



初めて聞いた彼の怒鳴り声



梨瑠「……総司くん?」


沖田「…本当は今言うつもりなんてなかったんだけど、梨瑠ちゃん聞いて?」



梨瑠「……」



沖田「君が好きだよ。女の子して君が好きだ。…僕の彼女になってくれないかな?」









…え…?


総司くんが…


私を…好き…?





梨瑠「でも…私は…





沖田「君が一君を好きなのも忘れられていないのも分かってる。だけど絶対忘れさせてみせるから僕と付き合ってよ」



梨瑠「…っ…」





沖田「…君の隣を僕に頂戴」





真剣な瞳の総司くんがゆっくり近付いてくる



傷ついた心に



彼の言葉は砂糖の様に甘くて…






梨瑠「…宜しく、お願いしま…す…」






言った同時に塞がれた唇









今日、
私は彼の隣を歩く事を決めた









初めてのキスは涙の味だった





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