星と恋のSketch book
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私が一君を突き放した日から数ヶ月の月日が経った
季節も変わり
私の…
居場所も変わっていった
no,11 分岐点
あの日以降
私は可能な限り一君に近寄らなくなった
もはや避けてる
その言葉の方が正しいかもしれない
だけど…仕方ないの
一君の隣は千鶴ちゃんのもの
今も二人は廊下で微笑みあっている
そんな二人の邪魔なんて…出来ない
私は現実を直視する事が出来なくて
ただ、無心に絵を描いた
どんなに憎んでも
やっぱり絵を描く事が好き
きっと、
既に私の一部なのだろう
私は来る日も来る日も
一向に絵を描き続けた
《一君を見たくない》
それだけを抱いて
◇・◇・◇・◇
沖田「梨瑠ちゃん♪」
梨瑠「総司くん!」
沖田「今日は何を描くの?」
梨瑠「今日はね…
毎日お決まりに交わされる会話
総司くんはずっと私の隣に居てくれる
最初こそは戸惑っていたけど
今や、彼の隣は私にとって居心地の良いものとなっていた
バタバタっっーーーー
バタンっ!!
先生「高坂さんっ!!探したわ!」
息を切らした先生が美術室に駆け込んで来た
梨瑠「先生?」
先生「高坂さん!これに応募してみない?」
そこには
【高校生絵画コンクール】
と書かれてあった
梨瑠「…でも…」
先生「貴女の絵、最近凄く素敵よ?何だか温かい気持ちになるわ。
…愛しい彼のお陰かしらね?」
梨瑠「//////っな!?」
先生「とにかく考えてみて?ね!」
梨瑠「は、い…」
じゃあ頑張ってね、と残し先生は去って行った
*・*
沖田「ねぇ、梨瑠ちゃん!挑戦してみなよ♪」
総司くんはにっこり笑って私にコンクールの申込用紙を手渡してくる
梨瑠「…けど…」
良い結果を残せなかったら…
と、悪い想い出が背中をゾクリと震わせた
沖田「コンクールの絵はさ、僕をイメージして描いてよ!」
梨瑠「総司くんを?」
沖田「うん、ね?」
…一君の事があってから総司君はいつも私を支えてくれた
その笑顔にどれ程救われたかわからない
……うん、
私…も…
彼の様に強く優しい人になりたい
逃げてばかりは…もう
嫌だ…
梨瑠「……やってみる、挑戦してみるよ!」
ぽんぽん
梨瑠「?」
総司くんは
私の頭を撫でながら言った
沖田「ねぇ、覚えてて?この先何があっても、世界が君の敵になったとしても僕は絶対に梨瑠ちゃんの味方だから」
梨瑠「…総司くん…」
総司君はきっと薄々気付いてるんだ
私とお父さんが不仲な事も
原因が
絵の事も…。
梨瑠「ありがとう」
ーーーーーーー
こうして私は総司くんの後押しもあり、絵画コンクールに応募する事を決めた
そして、このコンクールこそが
私の
人生の最初の分岐点になるのだった
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