星と恋のSketch book
□08
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ん?
何やら違和感に気付き、ふとキャンパスから目を逸らして窓の外を見ると
月が出ていた
no,08
梨瑠「たっ大変です!!沖田君!沖田君っっ!!!」
呼びかけても一向に目を覚まさない沖田君
梨瑠「そ…うじ…くん!起きてっ…」
沖田「良く出来ました♪おはよ!」
梨瑠「そんな事言ってる場合じゃないです!もうすっかり20時ですよ?!」
沖田「あ、本当だ!じゃあ帰ろっか」
軽い
何とも軽い返事です…
飄々としている彼に少々げんなりしながら、私は美術室の鍵を閉め、職員室へ返却し
沖…、否、総司君と学校を後にした
◇・◇・◇・◇
梨瑠「もう、ヒヤヒヤしました…」
沖田「大袈裟だなぁ、梨瑠ちゃんは♪」
梨瑠「だって遅くなるといつも一君が………」
……って、もう、私の事を心配してくれる事はないのに
一君が…っ…て
…………
私、…何…言ってるんだろ…
ーーーー
ーー
沖田「梨瑠ちゃん?」
梨瑠「はっ!っ、私!!こっちの道なので失礼します」
気を緩めると直ぐに一君の存在が私を支配する
悲しみに囚われた姿何て誰にも見せたくない
急いでこの場を立ち去ろうした
ガシッ
…でも、総司君は
しっかりと私の腕を掴んでいた
沖田「は?もちろん、送ってくよ?」
梨瑠「なっ!そんな、ご迷惑かけれません!!!」
…ひとり…、に…なりたい……
沖田「迷惑じゃないし、この時間に君を一人で帰らせて万が一の事があった時の僕の身になってくれない?」
梨瑠「…でも…」
沖田「ま、君以外の女の子ならどうなってもいいから送らないけどね♪」
梨瑠「//////っな?!」
もう!
どうしてこの人は…
この人は…
沖田「あははは!また赤くなった♪一体今日何度目??
……もう!ほらっ、行くよ!」
そう言って私の手を取りスタスタと歩く総司君
昼間と違って、歩く速度はゆっくりで私を気遣ってくれているのがわかる
ぎゅっと力が篭る手
どうしてこの人は
こんなに温かいんだろう
どうして総司君は
《独りにしないで》って思う私の気持ちが分かるんだろう
月明かりの下で
総司君の背に隠れながら
ちょっとだけ……泣いた…
失恋してからの初めての涙だった
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