星と恋のSketch book

□08
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〜沖田side〜



《だって遅くなるといつも一君が……》



梨瑠ちゃんが言った言葉


わかるよ


きっと一君の事だから過保護だったんだよね


だけど、一人で悲しまないでよ






僕は強引に梨瑠ちゃんの手を取り歩き出した

繋がれた手に少し力を込めると、梨瑠ちゃんもぎゅっと握り返してくれた





君が傷つけばいい





確かにそう思ってたのに、実際見ると苦しくて堪らない





沖田「ねぇ、梨瑠ちゃん。僕達友達だよね?」

梨瑠「グスッ、ぁ、はい!もちろんです!!」

沖田「じゃあさ、約束してよ」










絶対に一人で泣かないで」












梨瑠「…え?」

沖田「泣きたい時は側にいてあげるし、悲しい時は慰めてあげる。だから絶対に一人で泣くのはやめてよ、ね?約束して」



梨瑠ちゃんはキョトンと僕を見つめて、赤い目を擦りながら






梨瑠「…総司君も約束してくれるなら…」







沖田「え?」

梨瑠「総司君も一人で泣かないって約束してくれるなら、約束します」










いつも、君の意外な言葉に驚かされる





わかってるよ

君が好きなのは僕じゃなくて一君







だから、その言葉に【友達】以上の意味はない








でも、


沖田「わかった、約束だよ?…一君より僕を頼ってね?」

梨瑠「はい…」








小さな約束とゆびきり





それすら愛おしいと思ってしまった




◇・◇・◇



梨瑠「送って下さってありがとうございました」

沖田「いいよ!そんな事よりほら!また敬語!」

梨瑠「ぁ…ごめん…」



??「随分と楽しそうだな」





僕と梨瑠ちゃんとの会話に水を差す一人の男






梨瑠「は、一君…」

沖田「一君こそ梨瑠ちゃんに何か用?」


面白くないと言わんばかりの僕の顔はさぞ引き攣っているだろう



斎藤「総司、興味本位で梨瑠に近付くなと言っただろう。こいつはあんたが遊んできた女とは違う。傷つけるような真似は俺が許さん」

梨瑠「一君!違うよ…
斎藤「あんたは黙っていろ」


梨瑠ちゃんを背に庇う様に立ち、ギロリと僕を睨む一君


沖田「一君、僕は梨瑠ちゃんを傷つけたりしないよ?少なくとも君みたいにはね」

斎藤「……どうゆう意味だ」

沖田「そのままの意味だけど?」






僕は目は逸らさない

だって迷いがないからね







迷いがあるのは君でしょ?







ほら







斎藤「…そ…うか。遊びではないのだな?」

沖田「だからそう言ってるじゃない」

斎藤「…………」

梨瑠「一君、私ね、もう…大丈夫だから」

斎藤「な…」

梨瑠「私、もう貴方が居なくても大丈夫だから」









梨瑠ちゃんの言葉に目を見開いて立ち尽くす一君







予想外だった?








けど、先に梨瑠ちゃんじゃなく千鶴ちゃんを選んだのは君だよ?








沖田「梨瑠ちゃん、行こ。部屋の前まで送るよ」

梨瑠「……うん、ありがとう。バイバイ、一君」







歩き出した僕達を見つめる一君







もう君の隣は梨瑠ちゃんじゃないんだよ




梨瑠ちゃんの隣は




ーー僕だ。








ーーーー









沖田「よく、頑張ったね」

梨瑠「……一君…ぅ…く」





マンションのエントランスに着くと梨瑠ちゃんは糸が切れたかの様に泣き出した



ずっと我慢してたんだよね




沖田「…僕が側にいるから」




ポロポロと泣く君の頭を

泣き止むまでずっと…

ずっと撫でていた






◇・◇・◇






本当はさ







ずっと君に
惹かれていたのかもしれない







今思えば梨瑠ちゃんが一君に向ける嬉しそうな笑顔を僕に向けてって思ってた気がする





じゃないと、この僕が一人の女の子を覚えてる訳がないんだ






ただ

君が好きなのは一君

相思相愛だと思ってたから無理矢理気付かないフリしてただけ






やっぱり僕は

梨瑠ちゃん、君が好きだよ








だけど、ごめんね







君は泣いてるのに

悲しんでいるのに

一君を突き放した事が







今、どうしようもない程





嬉しいんだ…








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