星と恋のSketch book
□06
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梨瑠「…昔…、初めて描いた絵を褒めてくれた人が居たんです。その人が言ったんです。空が見たいって、理由は…それだけです」
沖田「そうなんだ」
梨瑠「すみません、つまらない理由で」
沖田「ううん、全然っ!」
no.06
さぁ、何を描こうか
先生「あら?高坂さん、今回も空の絵にするの??」
梨瑠「だ、だめですか?」
先生は私の絵を凝視しながら口はへの字になっていた
先生「んー…、空に何か足せないかしら?高坂さんの画力は私も認めています、恐らくコンクールの候補にも貴女は名があがる。だからこそ、引けをとらない何かが必要よ!ね?少し考えてみて?」
梨瑠「は、い…」
どうしようかな…
難しい…
沖田「凄いじゃない!先生のお墨付なんてさ?」
梨瑠「沖田君。でも…何を描きましょうか…」
沖田君はちょこちょこと席を立っては私の元へ来ていた
それにしても、うーん…んー…
沖田「ねぇ、それさ、僕がリクエストしていい?」
梨瑠「え?あ、…
私の返事を聞く前に
沖田「夜明けの空に浮かぶ月がみたい」
と彼は言った
梨瑠「…月…ですか…」
沖田「うん!ダメ?」
夜明けの月…
まだほんのり薄暗さが残る空に此処にいると諦めない様に輝く月…
ぁ、いいかもしれない
梨瑠「…きました…
沖田「へ?」
梨瑠「…………」
きました
私の世界が咲き乱れます
もう、月の声しか聞こえない
ーまだ、輝いていたいー
もう少し
ほんの少し
せめて太陽が登るまで
君の中で少しでも永く、僕は輝いて居たいんだ
【月】の儚い想いを乗せて
私は真っ白なキャンパスを穢していく
きっとね【空】は私にとって一君
じゃあ…
……【月】は…誰…?
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私の【空】だけしかない世界に
綺麗な【月】が舞い降りた日…
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