星と恋のSketch book

□02
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梨瑠「ぁ、一番星」




学校からの帰り道

すっかり真っ暗になった帰路




隣に居た筈の君は





もう、どこにもいない









no,02







人って不思議なモノで悲し過ぎたり、辛過ぎたりすると案外涙って出なくて




ガタガタと心が壊れる音だけが頭に響くって知った。




ーーーーーーーーーー

ーーー

ー次の日の朝ー




浅い眠りを繰り返す私は、何の苦もなくベッドから起き上がり、早目に仕度をして家を出た




理由はもちろん

一君の顔を見たくないから。






学校へ着き一番に向かった先






それは美術室。





私の…唯一の居場所






*・*・*




美術室の窓際

何時もの定位置に行き、筆を握りスケッチブックの前に立つ



神経を澄まして、真っ直ぐに白い紙に筆を泳がす



純白の紙が私の想いのままに色付く様



この瞬間が大好き



絵を描く…と言うか

筆を操る

それ以外も感じない



私が【私】で無くなる瞬間






◇・◇・◇・◇





??「ねぇ、予鈴なるよ?」




不意にかけられた言葉に後ろを振り返ると



何時の間に美術室に来たのか、端整な顔立ちをした男の子が立っていてニコニコしながら私を見ていた





キーン 

コーン カーン………

 


梨瑠「…え?、あ、予鈴…」




??「ほらね?鳴っちゃった」




クスクスと笑う男の子



私、朝一学校に来た筈なんだけど絵を描いていると時間が経つのは本当に早い



…まぁ、教室に行きたくないしちょうど良かった…かな。




でも、



梨瑠「貴方まで遅刻しますよ?」

??「君の所為だよ?」

梨瑠「は?」



……私、何か貴方にしました?



??「こんなに綺麗な絵を目の前で描かれちゃ、動けなくなるよ」


私の絵をまじまじと見ながらそう答える


梨瑠「でも、失敗なんです。コレ」

??「どこが?」




梨瑠「感情が出てます」






悲しい


辛い


苦しい


いわば【負】の塊




絵は【無】で無くてはいけない



父から教わった私の中の絵の決まり事。






??「え?ダメなの?」





彼はキョトンとしながら私の決め事を覆す台詞をサラリと言った




これが、私と沖田総司君の出会いだった。






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