あなたとわたし、100の恋

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「あ〜ぁ…かっこいいなぁ」

「見てるだけじゃ仲よくなれないのよ」

「そんなのわかってるけどさぁ…」




通りすがりに覗いた教室。
固まっているある男子集団。
窓際に寄りかかり爽やかに笑う彼。


彼に恋をして早半年。
気付くのが遅かった私は、アプローチ出来ずにいる。




「何で同じクラスだった時点で気付かなかったのよ」

「言い返す言葉がないです」




もう少し早く気づいていれば。
私は彼にアプローチ出来たのに。

去年同じクラスだったし、席も隣だった。
何でいつも大事な時に気付かないで遅れて気付くのだろう。
私は正真正銘の馬鹿だ。クラスが離れたら離れたで、全く話さなくなってしまったし。






「もう……しょうがないなぁ」

「え……ちょ、ちょっと!?」





私の腕を引いてグイグイと教室の中には行った友達。

チョタくんの隣にいた男子に話しかけた。
あ、彼氏さんこのクラスだったんだね。
そう思いながら私はちょこん、と彼女の隣に立ち尽くす。






「頑張って話すのよ」






小さな声で、私にだけ聞こえるようにそう言った。

そ、そんないきなり!
楽しそうに隣で話している友達とその彼氏さん。
私はというと黙ってその光景を見てるだけ。

他に男の子もいるのに、話しかけられるわけないじゃんかー…楽しそうに話してる邪魔出来ないよ。






「奈々ちゃん、付き添い?」

「え、あー…そんな感じ、かな」





ごめんね、と心の中で友達に謝りながらそう答えた。
チョタくんと話したいから、なんて言えるはずがない。




「クラス離れちゃってから全然話さなくなっちゃったね」

「そうだね、前まではたくさん話してたのに」

「ちょっと寂しいね」




きゅん。


眉を下げながらそう言うチョタくん。
す、素直に嬉しい…。
私もコクリと頷いた。

チャイムが鳴った。




「あー…なっちゃった。次の授業何?」

「英語」

「あ、奈々ちゃんが大好きな英語だね」

「む……逆だよー」




チョタくんが笑いながら「知ってる」と答える。

わざと言ったのかな。
私が英語苦手なこと知っててくれたんだ…。


友達に再び腕を引かれ教室を足早に出る。
少しだけだったけど、チョタくんと話せて楽しかったな。

固まっていた集団はバラけ、それぞれの席に着いて行く。
チョタくんは廊下側の席らしく、私たちがドアを出来た同時に席に着いた。




「たくさん話せてたじゃん!」

「う、うん…緊張したぁ…」




この会話、聞かれてないといいな。
聞かれてたらどうしよう。

少し集まる顔の熱を感じながら、チラリと彼に目線を向ける。


パチ、っと、目が合った。

何秒も何秒も、見つめ合っているような会感覚に陥った。


彼はゆっくり目を細め、

にこり、と笑って。





「どうにかしてメアドを――…奈々?」

「あ、な、何っ!?」

「ちょっと、大丈夫?」




心配そうに友達が私の額を触る。






「顔真っ赤だよ、熱?」






だって。

だってだってだって。

あんなに素敵な笑顔、ずるい。

私にだけに向けてくれた笑顔が、かっこよすぎて。
そりゃ誰だって照れちゃうよ。












目が合うだけで
(胸のドキドキが止まらない)


(あ、チョタくん)
(奈々ちゃん!よかった言いたいことがあったんだ!)
(あ、わ、私も!)
(じゃあ、先にごめんね?あのさ、メアド教えてほしいんだけど…)
(えっ)
(え?)
(…私も今聞こうと思ってた…)
(っうそ!?……あはは、同じこと考えてたね)





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