My Love Story Song

□走っても走っても。
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『空っぽ………』


「あァ。確かに上手いが、ただそれだけだ」


『…そんなの……わかってる!!』




あなたに言われなくても。わかってる。私が一番。




「なら、どうして歌っている」


『………わからない…わからないわからないわからない!!!!』





バンッ




店を飛び出して……とにかく走った。

“どうして歌っている”
そんなこと私が聞きたい。

頭の中で、彼の言葉がリフレインした。




『はぁはぁ……
………ここどこ?』



無我夢中で走っていたせいで、店からかなり遠くまで来ていたようだ。それに夜の街は昼間と違ってなんだか怖い。



『お店に戻らないと……』


仕事の途中だったことを思いだし、私は店へ戻ろうとした。




ガシッ



『誰ッ!!?』



突然誰かに腕を掴まれた。

慌てて振り返ると、そこには息を切らしたトラファルガーがいた。…わざわざ追いかけて来てくれたの?





「………心配させるな」


『え…なんで?……心配…?』


「この街は昼間はなんてことないが、夜になると危険だ。…海賊が多いからな」


『あ………ごめんなさい…』


「……帰るぞ」


『はい』



あなたも海賊なんじゃ…?と若干疑問が浮かんだが、私は素直に返事をして、トラファルガー・ローの後ろを歩き店に戻った。







『すみませんマスター…急に飛び出したりして』



店に入ると、私はあの海賊達のせいで荒れてしまった店内を片付けているマスターに謝罪した。



「美愛ちゃん…今日はもう帰りなさい」


『え!!?……そうですよね…クビですよね………』


「そうじゃないさ。客も怖がって帰ってしまったし、こんな状態じゃ、店を開けてられないからね…
今日はもう店じまいだ。明日からまたよろしく頼むよ」



『!!?じゃあ…私……』


「あぁ。クビになんてしないよ」



マスターはにっこり笑って、そう言ってくれた。


私はマスターの優しさに涙が出そうだったけれど、それを必死でこらえて精一杯返事をした。



『ありがとうございます!!また明日からよろしくお願いし「しなくていい」……え? 』



「コイツはオレがもらう……文句あるか?」


「船長!!?何を言ってるんですか!!」



私が反論する前に、ツナギを着たトラファルガーのお仲間さんの方から反対の声が上がった。そりゃそうだって。




「黙れペンギン」


ペン「コイツを仲間にするメリットがわかりません。戦えないのに足手まといになるだけです!!」


「…それはオレが決めることだ」


「美愛、仲間になるの!!?うれしいな!!」




今だに事態を飲み込めない私を余所に話はどんどん進んでいく。……とりあえず私…危ない?



「というわけだマスター。コイツはもらっていく」


「……君達は海賊なんだろう?美愛ちゃんはいいのかい?」


『………』


今だに放心状態の私。



「めんどくせェ……
ベポ!!」


「アイアイ!!!」



ガバッ



『わっ!!!!』


「ごめんね?ちょっと我慢してて?」


『嫌!!ベポ離してッ!!』



いきなりベポに担がれて、意識が戻った私は慌てて抵抗したが白熊の力に敵うわけなかった。




「船に戻る…コイツが世話になったな、マスター」


「美愛ちゃん!!」


『マスター!!!!』
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