Ocean's History

□He was recruited to her
3ページ/5ページ


翌朝7時




「サラさん!!おはようございます」

「おはようございます!!」



『おはよ―』




時間通りに9人とも甲板に集合した。




『じゃあ今から皆を島まで送るから』



そう言うとサラは海へ飛び込んだ。




「「「!!!??」」」



バシャン




『ふぅ…さぁみんな今日はヨロシクね』




キュルルルル

キュルル





「「「イルカだ!!」」」





いきなり飛びこんだサラに慌てた9人は急いで船縁に駆け寄って覗き込むと、船の下には9頭のイルカが集まっていた。




『じゃ一人一頭ずつ乗って、イルカに行きたい島を伝えて』



サラが海から声をかける。さも当たり前のように言うが、彼らにとっては安易な事ではなかった。



「あ、あの…どうやって降りたらいいんですか?」




そう。海岸側にはハシゴがついているため上り下りが可能。しかし海側にはついていない。つまり飛び降りるほかない。




『あ。ゴメンゴメン“aqua road”(水の道)』



それに気づいたサラは手をかざし、指先を船へと向けた。

すると海水が橋のように甲板と海を繋ぐ道を造っていった。



「「「……す、すごい」」」



しかし、道とはいっても水でできている…。以前にサラの水鳥に乗っている9人だが、やはり戸惑ってしまう。




『落ちないから大丈夫』


サラは、笑いながら道を通るように促した。



9人は恐る恐る、その道を通って落ちることなくイルカに乗った。







『もう捕まることのないように…次は助けないから』



「はい!!本当にありがとうございました!!」


「この恩は一生忘れねェ!!」


「サラの姉貴―!!また会ったら、恩返しさせてくれ!!」




『次会うのがオークション会場じゃなければね?』




「あたりめえだァ!!!」






9人はそれぞれサラにお礼を言い、イルカの背にまたがって故郷の島へと帰っていった。















『で?そこで何してるの?……トラファルガー』



「…バレてたか。敏感なヤツだ」




最後の一頭の影が見えなくなるとサラは甲板に上がり、見張り台に隠れていたローに声をかけた。




ストン




ローは見張り台から降りるとサラの目の前に立った。






『近いんだけど…』



「うるせェ。…"暇潰し"は終わりか?」



『いいえ、"暇潰し"は終わらない。毎日が"暇潰し"だから』



「……………」




『今から適当に海賊船襲いに行くの。…アンタも来る?どうせ船のコーティング待ちで暇なんでしょ?』



「一緒に"暇潰し"か。……悪くねェ、オレも行く」





『“water bird”』


返事を聞くがはやいか、サラは一匹の水鳥を出した。




「この前の鳥か…」


『乗って。空から探した方が早いからね』





サラとローを乗せた水鳥は空へと羽ばたいた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ