灰色days

□第3話【寝起きと料理】
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目が覚めると既に辺りは薄暗かった。

「……だいぶ寝てたみたいだな……これはもしかして……」

《夜、眠れなくなる感じのやつか!》

落胆したが、ここは自分の部屋でなかったことを思い出した。

《く、黒崎先輩の部屋だった!!》

慌てて起き上がろうとして勢い余ってベッドから転げ落ちた。

「!!」

ドタッとすごい音はしたものの、悲鳴は上げなかった。

だが、すぐにドアが開き、蘭丸が現れた。

「てめぇ……落ちたな」

呆れ顔で言われ、そのまま床に正座する。

「うぐぅ……。すみません」

「ったく……。真斗もレンも帰ってこねーし何なんだよ……」

ため息まじりにそう言ってリビングに戻っていく彼を急いで追う。

「二人とも帰ってきてないんですか?」

「は? てめぇに関係ねーだろ」

つまらなそうにそう言うと蘭丸は椅子に腰かける。

「そろそろメシの時間だってのに何してんだよ」

文句を言っている蘭丸に思いきって言ってみることにした。

「私、料理作ります!」

「…………要らねー」

無愛想にそう言うが、要らないと言う前に長い間があったのを気がつかないわけがない。

「こう見えて料理は得意です。是非、作らせてください!」

頭を下げて頼むと蘭丸の諦めたような声が聞こえてきた。

「…………肉」

「へ?」

思わず目をぱちぱちとさせてしまう。

「肉料理だ。ボケッとしてねーで早くしろ」

「は、はい!」

蘭丸に再び頭を下げ、キッチンへ向かった。

《黒崎先輩の分の他に二人のも作っておいた方がいいよね……》

何を作ろうか冷蔵庫を開けてチルド室を見る。

しかし、すぐに扉を閉めた。

《た……高そうなお肉が入ってます!》

冷蔵庫の前に座り、固まっていると蘭丸がキッチンへ入ってきた。

「……何してんだよ」

呆れ顔の蘭丸にキリッとして訴えた。

「高そうなお肉が入ってました!」

訴えというより報告といった方がいいかもしれないが。

蘭丸は再び呆れ顔で言った。

「それしかなきゃ、それを使えばいいだろ。食事当番が居ねーんだ。勝手に使え。……ああ、それと、あいつ等の分は要らねーからな。……てめぇも食ってくんなら二人分で……いい……」

言い放つようにそう言うと蘭丸は部屋へ戻っていく。

「あ、ありがとうございます!」

嬉しくなり、料理を開始した。









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